ヒアリングの導入部/ヒアリング実践講座 第5回
最初が肝心
いざヒアリングを始める時になって困ってしまう方がいらっしゃいます。
- 何て話しかけていいかわからない。
- 最初がエンジンかかりにくい。
- 最初の導入に時間が掛かる。
ヒアリングではある程度の時間を確保してお願いする事が多いのですが、最初でコケてしまうとその後上手く情報が取れずに時間がムダで終わってしまうことがあります。
これは調査員だけでなく、相手にとってもムダな時間になってしまうので、出来る限り避けたい事態です。
今回はそのヒアリングの最初の部分をどう行えばよいかを
第3回目の事例を用いて解説します。
・ヒアリング調査のイメージをつかむ | 実践ヒアリング講座 第3回
先に言えば説明 後だと言い訳
調査者「今日はお時間頂きありがとうございます。
ご連絡した通り今日は『オフィスや働き方』について
ヒアリングをさせて頂きたいです。」
対象者「はい。わかりました。」
調査者「ありがとうございます。
始める前の説明ですが、メモを取らせて頂きます。
事前に許可頂いておりますが、
それでも記録を残したくないと思ったらいつでも仰って下さい。
後からでも受け付けますので。」
【丁寧】【先に言えば説明】
対象者「はい。」
ヒアリングの冒頭でこのインタビューの目的や用途について説明しています。
それだけに留まらず、このインタビューの扱われ方について調査対象者が安心を持って取り掛かれるような工夫をしていることを説明しています。
これは必ず最初にいう必要があります。
もし最初に言い忘れたら謝罪と一緒にいう必要があります。
なぜか?
話したことを後から削除したいと思った時に言えずに居ると、たとえ調査対象者が悪かったとしてもヒアリングそのものにマイナスイメージを持たれます。こうなると今後のヒアリングには協力しづらくなってしまいます。
あるいはインタビュー後に調査対象者が「記録されると思ったら緊張しました。」と言った時に「仰って頂ければいつでも削除に応じるので心配されなくても良かったのに。」と答えられたら、どう思うでしょうか?
「その情報が先にあったら気苦労しなくてすんだのに。」と残念がるか、恨めしく思うでしょう。
後から言うと【言い訳】になってしまうので、(謝罪なしで)言うぐらいなら言わない方がマシです。
答えやすい質問
調査者「どんなお仕事されていますか?」
【答えやすい質問】
対象者「制作会社のデザイナーです。」
調査者「勤務地はどちらですか?最寄り駅だと?」
【答えやすい質問】
対象者「◯◯◯駅です。」
ヒアリングの最初は調査対象者も慣れていませんし、口も話す体勢になれていないです。そこで最初は出来るだけ思考せずにしかも短く答えられる質問から始めます。
やりやすい質問は【クローズクエッション】や【属性】です。
クローズクエッションとは、YesかNoかで答えられる質問です。
「今日はお仕事だったんですか?」
「ここへは電車で来られたんですか?」など
YesかNoかで答えられるものです。
属性とは、対象者自身につけられるラベルのことです。
- 性別(これは聞いてはいけません。)
- 年齢(これも聞いてはいけません。)
- 学歴(注意)
- 仕事
- 職歴
- 社会人歴
- 住所
- 出身地
- 年収(注意)
- 家族構成(注意)
などです。 聞いてはいけないものが多いので注意が必要ですが、これも簡単に答えられるものです。
事実から気持ちを聞く
対象者「はい。でも忙しいと多くなることもよくあります。」
調査者「それはなぜですか?」
対象者「納期が迫ってくるとやはり仕事が多くなります。
それと神(=アイデア)が降りてこない時とかは時間がかかります。」
【起こったこと】
調査者「お聞きしていると大変そうですが、ご自身ではどう思っていますか?」
【気持ち】
対象者「やっぱり大変なときもありますね。」
ヒアリング調査の特徴であり特技は心情を聞ける点です。
しかし、いきなり気持ちを聞くと答えるのが難しいです。
そこで既に起こった事(=事実)からその時の思いや気持ちを聞きます。
これによって心情を引き出しやすくなります。
まとめ
- ヒアリングの導入は重要。その後の調査結果を左右してしまう。
- 最初に説明を尽くす事でヒアリングの目的や安全性を伝えると答えやすい。
- 答えやすい質問から少しずつ慣れてもらう。
- 起こったことから気持ちを聞けば心情を言いやすい。
今回ヒアリングの手法をイラストで解説しましたが、これは著者の広瀬眞之介が開発したコミュニケーショントレーディングカードゲーム「ヒーローインタビュー」から引用しました。
ヒアリングの実践トレーニングも出来るカードゲームです。
詳細知りたい方はぜひ公式サイトまで。
http://www.hero.black/