ヒアリング調査の記録方法 | ヒアリング実践講座 第10回
ヒアリング内容を記録する
ヒアリングしたものを記録する方法はたくさんあります。そのうちより特徴的なもの3つ紹介します。
- 記者メモ方式
- マインドマップ方式
- A4紙一枚方式
それぞれに一長一短があるので状況に合わせて使いこなせるのが理想です。
あるいは自身の得意不得意に合わせてお使いになるのが良いです。是非一度それぞれを試してみてしっくりくるモノを使って下さい。
記者メモ方式
基本的に相手が喋ったことをそのままメモします。可能であれば語尾や方言までメモします。(もちろんヒアリングが阻害されないようにするのが前提です。)
この方法は政治記者の方々が行っているメモ方法だそうです。
なぜ政治記者の方々がこのメモを行っているか?多くの政治家の話した内容を共有できると見えてくる新たな情報が出てくるそうですが、記者個人では会いにいける政治家の数が限られています。
そこで、記者同士が互いのインタビューの実況中継のようなメモを共有します。これによって臨場感をもってあったかも自身がインタビューしたような錯覚になれるそうです。この臨場感が大事です。言いよどんだとか、言い直したとかに人間の本心が現れやすいので語尾や方言もそのまま記載したほうがよいです。
一人一人が行うインタビュー数は多くなくてもチームとしては共有できているのでそれぞれの情報を繋げやすく、新たな発見をし易いです。
この方式のデメリットは単純かつシンプルな方法ゆえに、タイピング力や速記力が問われます。録音できるのであれば後ほど文字起こしする事もできます。ただ文字おこしにもインタビューと同じかそれ以上の時間がかかるので手間ひまかかります。
マインドマップ方式
マインドマップという方法でヒアリング中にメモを取ります。
参考:マインドマップ(wikipedia)
(著者:Danny Stevens)
中央に話題のコアを書き、そこから枝葉が伸びるようにメモをとります。一つの枝が同じ話題の大きな固まりとなります。
この方式のメリットは画面を一瞥すればどの話題の量が多くて、どの話題の量がすくないのかを全体感として把握することが出来ます。聞きたい項目などがあらかじめいくつかある場合など聞き漏らさないようにする時に使いやすいです。
そのため録音してのちほど文字おこしするのではなく、ヒアリング中に行うのがオススメです。ヒアリング中に足りない話題を把握できたらその場で聴く事ができるからです。ヒアリング中の補助ツールとしては申し分ないです。
デメリットとしてはマインドマップを使っていない人や専門ソフトを持っていない人に共有しづらいです。また話が多くなりすぎた時に大きくなりすぎて一瞥ではわからなくなってしまう事があります。
A4紙一枚方式
ヒアリング内容をA4一枚の紙のまとめる方法です。物理的にも手に取れて、どのくらい集まったかわかりやすく眺め見るのに適しています。
また、紙の四隅の部分にカテゴリやラベルを書くとソートしやすくなります。例えば左上に「住まい/性別/職業」を書いていたとします。
すると、例えば東京の住まいの人で揃えようとする時、パラパラ漫画をめくるように左上を弾くことでどの資料が何のカテゴリに属するのかがすぐ分かります。このように後から見返しながら新しい発見をするのに向いています。
デメリットとしては保存する場所とまとめる時間が必要になります。A4紙一枚にまとめるためにヒアリング中に行うのは難しいです。
まとめ
- ヒアリングの記録方法にも幾つか方法があり、状況により使い分けが大切。
- 記者メモ方式はチーム内での情報共有に向いています。
- マインドマップ方式は話題の偏りを判別しやすいです。
- A4紙一枚方式は後から見直すのが得意です。
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