ヒアリングの練習 | 実践ヒアリング講座 第11回
ヒアリングはどうやって練習するか?
第一回でヒアリングは実践しないと上手くならないとお伝えしました。
ユーザー調査/ヒアリングが上手く出来ないのはなぜか? | 実践ヒアリング講座 第1回
しかし、ヒアリングを練習するのはいくつかハードルがあります。
- 練習相手が必要。
- 素人同士だとフィードバックが曖昧。
- 先生が居ないと良し悪しがわからない。
ヒアリングをどうしてもやる必要がある。ヒアリングが既に得意な人がいる。といった条件が揃わないと中々難しいです。
そこで、素人でも練習がしやすいようにカードゲーム「 ヒーローインタビュー」を開発しました。今回はこちらを紹介しながらヒアリングの練習方法をお伝えします。
相手の価値観と自分を切り離す
コミュニケーショントレーニングカードゲーム「ヒーローインタビュー」はヒーローインタビューをやりながらヒアリングを学ぶゲームです。(現在2015年10月1日時点では、バージョンアップを図るため販売一時停止中。もう少しで再開します。)
このゲームはヒーロー役(話を聞かれる人)と記者役(話を聞く人)に分かれて、合同ヒーローインタビューを行います。ヒーローは一番いいインタビューをした人に独占取材のオファーカードを出します。これを獲った人が勝ちです。
そのため、このゲームではどんなに自分の価値観と違っても、どんなにつまらない話でも〈ちやほやしながら話を聞く〉必要があります。
ヒアリングに慣れていない方はここが難しいです。新規事業におけるヒアリングの場合は自分達が作った商品をついつい売り込みたくなったり、否定されると繕ったりしたくなります。つまり自分の意見を挟みたくなる。
しかし、相手の意見をありのままにまず聞くことが大事です。このゲームではそれが強制的になされるような世界観に設定しています。
マニュアルよりも相手の主観に合わせる
インタビューは図のように配置して2分3セット行います。最初に選んだテーマを続けて行うので6分同じ話題を聞くことになります。
セットが終わるとヒーロー役はインタビューを受けて自分がどう感じたのかを記者にヒントカードで提示します。
このヒントカードは全部で12枚あります。(これまでの連載の中で出てきたものになります。)ヒアリングのフィードバックを返すにはどちらかがヒアリングに長けていないと曖昧なまま終わってしまうことがあります。
ヒントカードにはヒアリングで注意すべきことが既に書いてあるので、フィードバックをより正確に返しやすくしています。これによってヒアリングの素人同士であっても訓練することが可能になります。
もう一つ大事なことがあります。
このゲームではヒーロー役の人に合わせて聞き方を変えていく必要あります。なぜなら相手がどう受け取るかは【主観】だからです。例えば「A」という聞き方をHさんは丁寧と受け取った。しかし、同じ聞き方をしてもSさんは真逆に失礼と受け取った。という事は起こりえるのです。
これは状況や背景などが完全に一致しているわけではないのでこうしたことが起こります。このようにヒアリングは相手に合わせて聞き方を変えていく必要があるのです。そのためマニュアルを読み込んだだけでは上手くなれないのです。
さりとて、ただ何度も実践する機会が多くの方にあるわけではないので、このように相手がどう考えているかを適切にフィードバック出来るしくみにしています。
出されたヒントカードからヒーロー役にとって望ましい聞き方を探っていき、オファーを勝ち取るゲームなのです。
ヒアリングの練習に誘いやすくする
このゲームは直感的で、ヒアリングの素人同士で良く、遊び感覚で出来ます。なので、ヒアリングの練習に誘いやすいのです。
実際にやる時はお誘いした練習相手をまずヒーロー役にしましょう。相手がずっと否定せずに、丁寧に話を聞いてもらえる経験は日常生活の中ではあまり多くありません。敬意を持ってじっくり話を聞いてもらえる経験をした人はこのゲームを好意的に捉えてくれるようになります。すると再度練習相手になってもらいやすいです。
たった6分間ですが、自慢話を全く嫌な顔ひとつされずに聞いてもらえるのは快感です。場合によっては深い話になり涙ぐむ人が出ることもあります。
ぜひこちらを上手く活用してヒアリングを日常的に練習してください。
まとめ
- ヒアリングの練習にはいくつかハードルがある。
- 相手の価値観と自分を切り離す。
- マニュアルよりも相手の主観を優先する。
- ヒアリングの練習は誘いやすいのが大事。
※ 著者の広瀬眞之介が開発したコミュニケーショントレーディングカードゲーム「ヒーローインタビュー」はここで説明した事を無理なく実践練習できるようにしております。詳細知りたい方はぜひ公式サイトまで。
http://www.hero.black/