もっとコワーキングしよう!〜コワーキング事始め(2)〜

もっとコワーキングしよう!〜コワーキング事始め(2)〜

誰がコワーキングスペースを使うのか

コワーキングスペースを利用する人たちには、さまざまな職種、業種の方がいます。一見、IT・ウェブ系の仕事をする人たちのためだけの場所ととらえられがちですが、実はそうでもありません。

確かに、洋の東西を問わず、IT・ウェブ系のコワーカーの利用率は高いです。こうした職種の人たちの中にフリーランサーが多いことや、働く環境を選択する意識の高い、あるいはその必要のある(いわゆるノマド)ワーカーが多いために、自然とそうなる傾向にはあります。

しかし、最近ではさまざまな職種・業種の方が、思い思いにコワーキングスペースを活用するようになってきています。

IT・ウェブ系のプログラマーやデザイナーの他に、グラフィック系の方、店舗設計や建築、リノベーションを業とする人など、何かを制作(製作)、開発する人たちに加え、マーケティングや財務会計関係のビジネスコンサルタント、ローカルの自営業者や商店組合、さらには学生、小さなお子さんのいるお母さんがた、NPO法人、等々、実に多岐にわたっています。

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人つながりで得る発想と体験

こうした立ち位置の異なる人たちが、それぞれの目的のためにスペースを利用しているわけですが、 前回も書きましたようにコワーキングスペースはコミュニケーションありきのコミュニティです。スペース内で利用者同士が交差することで情報共有が進み、それが日によって違うメンバーと繰り返されます。そして、これまでと違った視点と視座でヒントが芽生え、新しいステップのためのアイデアがスパークするということが、日常的に起こっています。

このことは、コワーキングスペースを利用することが単にオフィスコストを抑えるためだけにとどまらないことを意味し、従来の(毎日、顔を合わすメンバーが同じである)オフィスシェアリングとはまったく違う、むしろ多様な働き手とつながることで、フレキシブルでイノベーティブな発想と体験を生み出す環境を手にする、ということでもあります。

コワーキングスペースを利用するということは、また、協働メンバーとの出会いも生み出します。この世の中のほとんどの仕事はひとりではできません。必ず誰かとお互いに持てる能力を合わせて進めざるを得ません。仕事仲間を見つけ、コラボを組み、ともに成果を上げる。それを可能にするのもコワーキングです。

ちなみにこの傾向は、地方都市におけるコワーキングにおいても、いわば「ビジネス寄りの公民館的インフラ」として顕著になりつつあり、ローカル経済を駆動するエンジンとして機能しはじめています。また、そうしたコワーキングのポテンシャルを地方行政が活用する例もあり、北九州市のコワーキングスペース、秘密基地ではこうした多様な人材がチームとなり、地方自治体の委託を受けて、北九州フードフェスティバルの実行委員会を運営しています。

そしてもちろん、仕事仲間とともにスタートアップとして事業を興すことも、内外のコワーキングスペースのそこかしこで起こっています。まさにインキュベーションとして機能しているわけです。いまや、ユーザー数が4億人を超えるほど大きく成長した画像共有SNSのInstagramも、最初はコワーキングスペースから始まったというのは有名な話です。

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企業とコワーキングの関係

そして、ことここに至って、企業に勤めるワーカーもコワーキングスペースを利用する動きが出てきました。

生き残りを賭ける企業として新しい価値を生み出すためには、時代の流れに沿ったワークフローの導入が必要です。先見性のある企業では、クラウドの普及とともに、社員がどこにいても仕事ができるような環境を整備し、情報共有と意思決定、そして業務遂行のプロセスを劇的に変えようとしています。いわゆる、リモートワークですが、その舞台としてコワーキングスペースが利用されるようになってきています。

そしてそのクラウドのもたらす効果もあって、これからの企業組織のあり方自体も変わりつつあります。これまでの縦構造でマネジメントするヒエラルキーから、チームや個人が連携の中で役割を分担し、迅速な意思決定にもとづいてコトを進めるホロクラシーへと移行する傾向が現れています。

こうしたことを背景に、企業の社員が社外のさまざまなリソースにも自律的につながるようになってきた、あるいは、その必要が生まれてきたということは自然な流れです。コワーキングスペースはそのプラットフォームとして、フリーランサーのみならず企業人にとっても有効に活用されています。

ちなみに、コワーキングスペースで仕事をするコワーカーと上場企業とのコラボにより、新しいビジネスが起ち上げられるということも、既に始まっています。このことは、ビジネスを「会社」という単位ではなく、その能力を求められて各々が参画する「プロジェクトチーム」としてやる、そういう新しいフェーズに入っている証左と言えます。それは、これからの時代のワーカーに通底する志向であり、働き方の新しい方法論でもあります。

また一方で、企業が社内にコワーキングスペース(呼び名はどうあれ)を開設し、社員のみならず社外のコワーカーにも開放する試みも内外で始まっています。企業人が街中のコワーキングスペースを利用するのと逆パターンですが、相互に補完し合える環境を共有することに変わりはありません。

ちなみに、三井不動産が運営する東京のコワーキングスペース、 Clipニホンバシでは、企業人とフリーランサー、そして起業家の出会いの場を作り、新規事業や個人プロジェクトを支援するイノベーションラボとして、非常にユニークなプログラムを数多く提供しています。コワーキングスペースが企業とフリーランサー双方にとっての新しいビジネスの方法論を提案し、かつ実践する事例として参考にしたいところです。

自分ブランドの構築

コワーキングとは詰まるところ、働き方の選択肢のひとつであり、仕事をする方法論のひとつに過ぎません。従って、コワーキングだけがすべてであるはずはもちろんありません。

しかし、これからの時代、個人がチームの一員として能力を発揮し仕事を全うするために、コワーキングのメカニズムを理解し実践することは、フリーランサーと企業人の区別なく、同等に有益です。

それはすなわち、自分というブランドを構築するということにもつながります。あなたという働き手が何者であるかを仕事を通じて構築していく。実はそれこそが、コワーキングのもたらす最も大きな果実なのです。

ライター紹介:伊藤 富雄

2010年、日本で最初のコワーキングスペース「カフーツ」を神戸に開設。
以来、同スペースを拠点にウェブマーケティングのコンサルティング業のかたわら、 新しいワーキングスタイルであるコワーキングの実践と普及に努める。

2012年、コワーキング協同組合設立。

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