ユーザープロフィール

ゲストさん

ヒアリングからの新規事業開発例 | ヒアリング実践講座 第14回

ヒアリングからの新規事業開発例 | ヒアリング実践講座 第14回

私が今まさに開発中の事業「ウツ会議」の成り立ちをお見せします。
それを元に得られた情報からどのように新規事業を作るのかについて記していきます。

最初のキッカケ

最初にうつ病向けのサービスを考えたのは2013年11月に行われたStartupWeekendTokyoという起業家体験が出来るイベントの中でした。

画像

私達のチームのリーダーは「ワンコインカウンセリング」をビジネスプランを持っていて、このプランを軸にサービス開発を実際に行いました。
開発していく中で長短あわせて40~50人ぐらいの人にヒアリングをしましたが、事業開発とは中々うまくいかないものです。
すぐさま壁にぶつかりました。

まず、うつ病の症状が重い人は相談どころかそれを探す気力もないという事がヒアリングによりわかったのです。
うつ病が進行している人は状況変化に耐えることがそもそも大変で、状況を変化させる事を思いつくことすらない。そんなレベル感の人が多いとわかったのです。

なので、いくら相談できるサービスが有ったとしてもそもそも探そうとされないのです。 検索もされないのでうつ病の重い人にリーチするのは相当に難しいと言うことがわかりました。

では、症状が軽いひとはどうなのか?こちらも利用しないと言うことが明らかになりました。
その理由は「友だちと話す。」「飲んで忘れる。」など。 カウンセリングは医療行為とみなされ、病名がつかないと利用するイメージが湧かないのです。

仮説の発掘と問題の構造化

この時点で私達の開発していたサービスに芽がなさそうです。
そこで方向転換(ピボット)しようと、既に行ったヒアリング情報を改めて確認しました。

その中で気になったものが2つありました。

画像

1つ目はうつ病患者本人だけでなく、周りの人もすごく苦しんでいるという事を聞いていました。 後の調査でも近しい人が自殺してしまうと、周囲の人はかなり長期間に渡り苦しむと言うことがわかっています。

2つ目は元うつ病だった人が周囲の人に助けられて、回復の道を歩けたという話が何度か出ていたことです。 何度も出てきたので気になりました。

どちらも周囲の人に関わることです。
この情報を合わせることで、一つの仮説が生まれました。

「周囲の人に支えられることによってうつ病患者は回復しやすくなる。
 しかし、周囲の人が助かるコンテンツが適切にない。」

この仮説が正しいのか改めて調べてみたところ、”周囲の人専用サービス”は極端に少ないとわかりました。

例えば、うつ病になったら病院やカウンセリングに行く事が思い浮かびます。
しかし、周りの人は患者当人ではないのに行っていいものでしょうか?
実際にそうした状況になると皆様悩まれると思います。
少なくとも病院は周囲の人向けの専門サービスではありません。

また友人や知人に話す事もためらいやすいです。
なぜなら自分自身だけの事ではないので、相手への許可や配慮が必要と考えるからです。

苦しんでいるのに相談場所がない。
いくら病気でなくても辛い経験を話す事がなければ精神的にダメージを負います。
場合によってはうつ病の連鎖という事にもなりかねません。

そこで患者周囲の人向けのカウンセリングサービスとして、プランを提出しました。
最終的にこのサービスが日の目をみる事はありませんでしたが、のちのウツ会議に続く良い気づきを得ました。

別問題と解決法の発見

しばらく月日を空けたある日、飲んでいたバーで人事の方とメンタルヘルスサービスについて話が盛り上がりました。

彼曰く「メンタルヘルスのサポートを組織的に行いたい(組織ケア)のですが、メルタルヘルス研修の成果がすこぶる悪い」とのこと。

なぜなのか?と問うと
「上司はタフだから出世した奴が多い。だから弱い奴のことがわからない!」とのこと。 直感的に面白さを感じたので、少し考えて次なる仮説をつくりました。

「わからなければ、上司たちに共感や感情移入させれば良いのではないか?」

そこで、感情移入させるためのコンテンツを考え出しました。
映画、書籍、マンガ、演説、エッセイ、演劇などなど。
思いついた多くが、既にそうしたコンテンツでうつ病について表現されていました。
ですが一つだけまだ世にないものがありました。

それがゲームです。
特にアナログゲームでうつ病をあらわしたものは(少なくとも日本国内には)ありませんでした。 そこで、アナログゲームでうつ病のゲームを開発するようになりました。

早速、うつ病の知人と試しにプロトタイプを作ってみました。
うつ病の症状や患者が言いそうなセリフをただめくっていくだけ、奇跡的に良い影響を与えるカードが5枚揃うとクリアなのですが、基本的には負けてしまうゲームとして創りました。

画像

これが、見事によく出来たゲームでした。 気分を最悪にさせてくれます。
あまりにも強烈過ぎて、それ以降カードの内容をマイルドにせざるを得ないほどのレベルでした。

やっとここで解決策(感情移入させられるコンテンツ)が出来ましたが、それだけでサービスとしてはまだ売れません。
足りないものはたくさんあります。

検証とブラッシュアップ

エビデンス(客観的な指標)を得に行ったり、専門家(医者やカウンセラー)や人事、マイノリティの方々、患者、サポーターなどのご意見を頂きながらゲームをブラッシュアップし続けました。

試作品を作ってはブラッシュアップを繰り返す日々で、数百のテストプレイをしております。

画像

ブラッシュアップを兼ねている中で、企業の方が面白がってくださり、研修として買ってくださいました。 これが第一号のクライアントです。
検証/ブラッシュアップ活動中にサービスが売れたのです。
これが2015年の2月でした。 開発を始めてから大体1年で漕ぎ着けました。

その後もブラッシュアップと改良をし続けて現在に至ります。
先日もNHK首都圏ネットワークに取り上げて頂きました。
0からの新規事業開発としてはそこそこ順調に進んでおります。

このように情報を精査していきながら開発を行ってきました。
次回はこの中で注目すべき点を詳しく解説していきます。

まとめ

  • ヒアリングで得られた情報からサービスや事業をブラッシュアップ出来る。
  • 場合によってはヒアリングから事業が立ち行かない事も判明する。
  • ヒアリング中にサービスが売れることもある。

※ 著者の広瀬眞之介が開発したコミュニケーショントレーディングカードゲーム「ヒーローインタビュー」はここで説明した事を無理なく実践練習できるようにしております。詳細知りたい方はぜひ公式サイトまで。
http://www.hero.black/

※ウツ会議 ( http://www.mtg.blue/

PR_infeed

PR_Relative

オウンドメディア運営会社の皆様へ

s

ページトップ