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もっとコワーキングしよう!〜コワーキングスペースの始め方(1)〜

もっとコワーキングしよう!〜コワーキングスペースの始め方(1)〜

場所は後でいい

コワーキングのシステムに価値を見出したコワーカーの中には、自分たちでもコワーキングスペースを運営したいと考える人も、当然ですが現れてきます。

※ちなみに、コワーキングスペースを「賃貸スペース業」として、つまりビジネスの目的としておやりになる事業者もおられますが、この稿ではあくまでコワーカーが自分たちでコワーキングスペースを運営することについて書きます。

ぼくの場合は自分自身がコワーカーであり、自分にとっても必要な環境であったため自らコワーキングスペースを開設することにしました。そのせいもあってか、「これからコワーキングスペースをやってみたい」という方が、よくご相談に来られます。その際にまずお話しすることは、「場所や設備のことは、後でいい」ということです。

昨今、コワーキング情報はウェブで簡単に入手できるようになり、スペースの様子も多くの画像や動画で紹介されています。スペースをやりたいと思っている人ほど、これらの情報に接するたびにその想いを募らせ、ややもすると瀟洒な(あるいはレトロな)ビルディングや、しゃれたデスクや照明、つまりハードにばかり目が行きがちです。

しかし、コワーキングは、もちろんワークスペースではありますが、同時にコミュニティでもあります。といいますか、コミュニティという概念の中にコワーキングがあります。働くための環境としていかに整備されているかは無視できませんが、それよりももっと肝要なのは、そこを利用する人たちでどういうコミュニティを構築し運営するか、です。ここがオフィスシェアリングなどと大きく違う点です。

コミュニティを核として運営するコワーキングを、ではどう始めるか。ぼくは、(スペース業というビジネスの目的でない限り)コワーカーの共同運営をお勧めしています。

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中核メンバーを見つける

そのスタートのためのステップはこんな風に進められます。

STEP1:最初の一人を見つける

働く環境を共用し、時にコラボを組んで仕事をする、というコワーキングのコンセプトをスタートさせる一番最初にすることは、ひとりで物件を見て回ることではありません。このアイデアに賛同する最初の一人を見つけることです。

あなたが「コワーキングをやりたい」と思ったとしましょう。それを、同業者や友人に話します。「それ、いいね」「私もやりたい」という人が現れたら、それが最初の第一歩です。コワーキングはそもそもひとりでやることではありません。誰かと誰かがなにかでつながる、そういう機会を持つ場所であり、方法です。最初に「いいね」と賛同してくれた人と、それからは「じゃ、どうするか」を一緒に考えて行動することです。

STEP2:イベントを開催する

次に、もう少し仲間を集めてコミュニティの核を作ることが必要です。このコミュニティは、以後、スペース運営が始まれば、生き物のように日々変化していきます。その変化を受け入れて、流れに任せるのもコワーキング運営の要諦ですが、コミュニティの中核を持っていなければ、ゆくゆく分解の恐れも出てきます。その中核になるメンバーを見つけるプロセスの最初にやることがイベントです。

対象はフリーランサーや小規模事業者、あるいはスタートアップの人たち、つまり将来コワーキングを使うであろうと覚しきワーカーです。イベントのテーマはなんでもかまいませんが、この時点ではあえて仕事やビジネスにこだわらず、カジュアルな誰でも参加できるものがベターです。単に「ビアバッシュ」や「フリーランス呑み会」、あるいはハロウィンやクリスマスなど時節に合わせたものなど、気軽に参加できて飲食の伴うパーティのほうが多種多様な属性の人たちが集まるので、新しい出会いが生まれるきっかけにもなります。

自己紹介や簡単なLTなどを途中に挟んで、参加者同士がつながりを持ちやすくなるよう進行することがポイントです。つまり、あなたが人をつなぐ役割を担うわけです。あとは、各自、会話に花を咲かせてもらえればOKです。そしてこの場で、コワーキングのコンセプトについてちょっとだけ紹介しておきましょう。「ちょっと試しにコワーキングしてみませんか」と。それが次にステップにつながります。

STEP3:ジェリーする

次にやるのが、ジェリー(Jelly)です。ジェリーとは、元々は「複数のコワーカーがどこか1ヶ所に集まって仕事をする」イベントのことです。2006年2月にニューヨークのAmit Gupta氏 がルームメイトのLuke Crawford氏とはじめたワーキングスタイルで、一番最初は彼らのホームオフィスで開かれました。多種多様なプロフィールの人たちが1ヶ所に集まるので、色とりどりのお菓子が瓶詰めされているジェリー・ビーンズになぞらえて「ジェリー」と呼んだそうです。

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ちなみに、日本ではジェリーとはコワーキングスペース内で催されるイベント全般のことと理解されていますが、本来、場所はどこでも構いません。友人のオフィスでも、公園でも、公民館でも、教室でも、カフェでも、場合によれば駅の待合室やショッピングモールの休憩室や大きなビルのロビーでも(つまみ出されなければ)、みんなが集まれるところならどこでもいいのです。

また、日本では、仕事以外でも「ちょっと集まって●●しないか?」という時にジェリーと言われたりしていますが、海外においてはそもそもジェリーの集まる目的はあくまで「仕事をすること」です。従って、「ジェリー」という大きなくくりの中に(場所を特定する)「コワーキング」が含まれている、という概念です。かく言うぼくも、本を読んで集まるブック・ジェリーや、集まってから「せーの」でブログを書くブログ・ジェリーなどというのをやっていますが。

前回、イベントに集まった人たちに、このジェリーへの参加を呼びかけるのです。ここは海外式に「今度、仕事を一緒にしませんか」としましょう。もちろん、参加者の希望があれば、間に勉強会を盛り込んでもいいでしょう。そして、集まってこられた人たちと仕事や勉強をしながらコワーキングスペースについて話してみるのです。ここで最も大きなヒントを与えてくれるのが、「どうして来たのか?」と訊くことです。

「なんで、わざわざそんなこと」と思うかもしれませんが、あえて人に尋ねることで、人ぞれぞれのコワーキングに対する考え方や期待や不満が見えてきます。そして、それまで自分一人で考えていたことが修正されたり整理されたりし、「やるべきこと」が何か、より明確になります。つまり、人の知恵を借りるのです。

かつて、ぼくはここで失敗しています。当時、日本にはコワーキングがなかったのでウェブを通してしかコワーキングに関する情報は得られず、それらをしらみつぶしにあたっていた結果、勢いアメリカやヨーロッパの物まねで「こうすればいいのか」とひとり合点してスタートしてしまいました。しかし、実際にスペースを利用するのは我々日本人です。日本人のオープンスペースへのアプローチや期待するものが全然違うことに気づくのに数ヶ月かかってしまいました。最初から、利用者の声を聞くべきだったのです。

ジェリーで集まってくれた彼ら彼女らの意見や要望を取り入れて、また次回のジェリーを提案します。その場で日程と場所を決めてしまうのもいいでしょう。このとき、「今度は、友だちを連れてきてね」とお願いしておきましょう。人つながりで参加者の自然増加を狙うのです。10人が一人ずつ連れて来てくれれば20人に、二人連れてくれば30人になります。これはジェリーの規模としては結構なボリュームです。そしてその中から、コワーキングスペース運営に前向きにコミットしてくれる中核メンバー候補を見つけるのです。

この時点でのジェリーは、できれば中核となるメンバーをより多く見つけるために、週一回とか隔週とか、間隔を開けて何回か開催することをお勧めします。

STEP4:中核メンバーで共同運営する

この中核メンバー候補が10人ぐらいになった時点で、自分たちのコワーキングは「誰の何のためにどうあるべきか」という根幹的なところを共有します。次にこの候補の中から、中核メンバーとしてコミットしてもらえる人をスカウトするのです。中核メンバーは、利用者であると同時にコワーキングのコミュニティの運営者として参加します。まずは3人。5人いればさらにベターです。

そして、コワーキングスペースの運営に要する経費を、この中核メンバー全員で按分して負担することを提案するのです。ここではじめて、「場所」や「設備」について協議することになります。中核メンバーにとっては、一人でオフィスを借りるよりもリーズナブルにワークスペースを確保でき、かつ、コミュニティのメンバーとしてさまざまなリソースを活用できます。また、スペースの利用者が増えてくれば、その利用料金が中核メンバーの負担を徐々に小さくしていくことも説明しておきましょう。

コワーキングスペースの目的を共有することで、それに適うロケーションや入居物件、設備、あるいは運営体制、それに伴う費用などが明確になってきます。なお、中でも不動産賃貸借契約については、一度に大きなお金が動きます。また、利用者数の多寡に関わらず毎月決まった金額が必要です。誰がどんな風に利用するのか、というよりも、どういう層に利用を促すのか、そのためには何をするべきか、そこが見えないままに漠然と入居してしまうと、あとで後悔しないとも限りませんので要注意です。

ちなみに最近のトピックスですが、この方は自分のアパートメントの一室を開放して、無料コワーキングスペースを始められたそうです。

This woman made her apartment into a free coworking space - Technically Brooklyn

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まずコミュニティを作ること

くどいようですが、コワーキングはコミュニティという枠組みの中で仕事をするスキームです。スペースを開業運営する側もそのことを前提に、なるべく負担の少ない、身の丈に合ったコワーキング運営を心がけるべきです。最初から決まった場所は要りません。イベントでいいのです。そして、まずはコミュニティの中核となってコミットしてくれるメンバーを募りましょう。

この方法は、とりわけ利用者数の少ない地方都市においては有効かつ必要なスキームです。コワーカー自らが運営に携わり、ローカルで仕事するワーカーのビジネス拠点として機能すれば、地元経済にも貢献します。従って、こうしたムーブメントに地方行政も積極的に手を貸すべきであるというのがぼくの意見です。

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