もっとコワーキングしよう!〜コワーキングスペースの始め方(2)〜

もっとコワーキングしよう!〜コワーキングスペースの始め方(2)〜

コミュニティの中核メンバーが集まり、スペース運営の体制を整えられたとしても、肝心の利用者であるコワーカーが増えていかなければ、コミュニティとして育たずに単なるシェアリングオフィスになってしまいますし、スペースを維持するためのコストを賄えなくなる恐れもあります。

利用するコワーカーを増やすには、中核メンバーを発掘した時と同じようにイベントやジェリーを開催して、まずはスペースの存在を知ってもらうことが有効です。そして、この段階では「仕事に直結する有益な情報なり技能なりが会得できる場所」という印象付けが欠かせません。従って、イベントのテーマも時流に沿って、業界で関心を呼んでいるトレンドなものを取り上げるのが賢明です。

ただ、それだけで必ずしも継続的に利用するメンバーにはなってくれるとは限りません。コワーカーが仕事をする場として選択する際に重要視する要件、それはやはり利用料金です。もちろん、「安い」ということだけが決め手ではありません。自分のワークスタイルに最もフィットするのはどこなのか、を十分勘案します。(そしてまた、そのコミュニティが居心地のいい場所かどうか、も)

日本では、ドロップイン(一時利用)、マンスリー(月単位)の他に、午前・午後で利用時間を区切ったり、平日利用と土日利用を分けたり、それらをミックスしたりと、スペースによって実にさまざまな料金体系があります。ドロップイン料金は地域によって差はありますが、都市圏では2時間1,000円、1日2,000円以上、地方では2時間500円、一日1,000円あたりが最も多いようです。

ちなみに、マンスリーはあくまで「一ヶ月単位でスペースの利用契約」を結ぶことであって、たとえば「向こう●年間の不動産の賃貸借契約」ではありませんので、本来、保証金というものは存在しません。次月分の利用料金のお支払いがなければ、そこでマンスリー契約は終了です。(※ただし、利用形態によっては保証金を求めるスペースもあるようです)

今回は、利用者を増やす方策について、いくつか提案したいと思います。まずは、利用料金についてです。

アーリーバードを募集する

オープン当初にある程度の人数の利用者がいれば、スペースにとってはスタートを切りやすくなります。そこでまず、早い段階で利用を検討するコワーカーがいたら、早期割引料金をオファーすることを考えましょう。早起きの鳥は多くの餌にありつけるという、アーリーバード割引ですね。

たとえば、マンスリーで、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月のコースを作り、それぞれ通常料金から段階的にディスカウントして提示します。ただし、割引する条件として前払いで料金をまとめて支払ってもらうのです。

これは、スペースのオープン前に開業資金を調達する方法として有効です。一種のクラウドファンディングですね。ということはつまり、こうした提案に応じてくれるコワーカーは、そのコミュニティの成長を期待しているファンでもあるということです。ですから、この方々のクチコミも期待できます。定員を設けておいて、随時、応募状況を公開するのもいいかもしれません。

なお、海外では、ライフタイム(生涯)会員制度を導入して、最初にまとまった利用料金を一括で徴収するスペースもあるようですが、国内では(今のところ)聞きません。

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トライアルを提案する

利用を迷っているコワーカーに対しては、ドロップイン料金をベースに、1週間のトライアル料金を設定し利用を促すのも方法です。たとえば、1日料金が1,000円であるスペースで、7日間3,000円ぐらいのディスカウント料金を提案するのはどうでしょう。

ポイントは1週間であること。スペースには、曜日によって、時間帯によって人の密度や空気、あるいは利用者の属性が違うことはよくあります。1回だけではなく、数日を過ごしてみて自分に合うかどうかを判断するのは、コワーカー、スペース運営者、双方にとってメリットがあります。

ちなみに、「一日無料」というトライアルもかつてはよく見かけました。かく言うぼくも一時期やっていましたが、「無料」よりもいくらか料金を設定したほうが、そのスペースの利用しがいがよりリアルに感じられるものです。はっきり言えば、「無料」が好きな人は、次の「無料」なところへ行くだけで、コミュニティの一員にはなり得ません。それよりも、「自分にとってペイする価値があるかどうか」をきちんと判断するコワーカーのニーズに向き合うことが必要です。そのために、わずかでも料金をいただくのです。

なお、マンスリーほど(毎日の)利用機会もないが、かといって週に(または、月に)何回かは利用したい、というコワーカー向けに回数券を販売するのも一考です。カフーツでは従来、ドロップインとマンスリーしかありませんでしたが、2年ほど前から利用者の要望で10回分の回数券を導入しました。販売日から2ヶ月有効で、通常、1,000円の一日料金が800円になります。これもある意味ファンディングですが、期限内にちゃんと消化していただけるので大変有難いです。

次は少し視点を変えます。

ほかのスペースとアライアンスを組む

この提案には、もしかしたら驚かれる方もおられるかもしれません。

コワーキングとは、つまりシェアリングエコノミーを推進するひとつのエンジンです。それは、働く場所を共用(シェア)するということだけにとどまらず、能力を寄せ合うことでさまざまなプロジェクトを完遂する、それをコミュ二ティとして行うエンジンでもあります。

しかし、こうしたコワーキングの理念は、いまだ日本社会においては十分浸透しているとは言えません。特に地方都市における認知度は、まだまだ大変低いものです。そこで、シェアリングの精神に則り、同じ地域のコワーキングスペースが協調してコワーキングの啓蒙活動をすることで、利用者を徐々に増やしていく仕組みが必要だと考えています。

同じ地域のコワーキングスペースというと、つい利用者を取り合うライバルのように考えがちですが、そもそもその分母をある程度のパイにまで広げない限り、取り合うほどのボリュームにもならないのは当然です。利用者層を厚くするために、地域におけるコワーキングのあり方や実態をスペース運営者が協力して広報することは、その後のスペース運営にとっても大きな意味があります。

●パンフレットを交換する

まずはコワーカーの流動性を高めるために、お互いのパンフレットをそれぞれのコワーキングスペースに置き合うことから始めましょう。それを手に取ったコワーカーの、「じゃ、今度、ここにも行ってみよう」というアクションが相互に起これば、スペースとコワーカーの新しい出会いが生まれます。

●共同でパンフレットを作る

次に、いくつかのスペース、できれば同じ都道府県内のスペースが一致団結して、コワーキングとは何かを伝えるフリーペーパー、もしくはパンフレットを制作し、広報ツールとして配布します。

これは、滋賀県の6つのコワーキングスペースが協力して制作したパンフレットです。A3の四つ折り(A5版)で、コワーキングスペースとはどんなところか、どこにあるのか、どんな人が何をしているのか、が実にコンパクトにまとめられています。

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制作のきっかけをお訊きしたところ、滋賀県におけるコワーキングの認知度のなさを考えた時に、「(自分のところだけのパンフレットを作るより)コワーキングという場所があって盛り上がっているらしい、という流れをつくった方が、利用者にも各スペースにも、もちろん当コワーキングにもいい流れが起こると考えたから」だそうです。

記事は各スペースで取材し執筆され、写真も皆さんで撮られたそうで、まさに協働体制で仕上げられました。なお、制作費の一部は、「小規模事業者持続化補助金」を活用したとのことでした。こうしたローカル経済を後押しする制度は、忘れず要チェックですね。

●小さくてもイベントを開催する

もうひとつ、ほかのスペースとアライアンスを組んで行うこととして、コワーキングをテーマにしたイベント開催があります。パンフレットを作るよりも、その実行には少々パワーが必要でが、あまりおおげさなことを考えずに可能な範囲内で、徐々に育てていく気持ちでやってみることをお勧めします。

これは、2013年に京都で開催された「コワーキングフェス in 京都」のチケットです。

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このイベントは、2010年に神戸で国内最初に開催したコワーキング・フォーラム関西の流れをくんだイベントですが、京都市内の6つのコワーキングスペースの協力体制で開催されました。このときはじめて有料イベントにしたのですが、1,000円のチケットの裏にはその6つのコワーキングスペースのロゴマークがならび、それぞれにスタンプ欄があります。つまり、その6つのコワーキングスペースの利用クーポン券になっていたのです。

これは前述の、1週間のトライアルとはまた違った形でのお試しの提案ですが、市内の比較的近距離にある6つのコワーキングスペースを1,000円で利用できるというのは大変リーズナブルであり魅力的です。

同様の施策としては、兵庫県の姫路市内に3つめのコワーキングスペースがオープンした際にも、他の2つのコワーキングスペースが協力してオープンイベントを開催し、チラシに全スペースのクーポン券を印刷した事例があります。きっとほかの地方でも、共同でコワーキングの啓蒙と利用者確保のためにされている活動があるのではないでしょうか。

こうしたコワーキングをテーマにしたイベントは、かつては年に一回、非常に規模の大きなものを東京あたりでドカーンとするイメージがありましたが、むしろ全国の各地で思い思いに、小ぶりでもローカルでつながり合える規模で、かつ、継続的に実施した方が、結局はその地域での実効性が高いと考えます。それらのローカルコミュニティ同士が「コワーキング」をキーワードでつながることは、その後でも十分可能です。

ローカルのスペースが協調してできることは、まだまだあるはずです。その成功事例を共有し、他の地域でも試してみる。そして、コワーキングを地域に浸透させ、働く方法の選択肢を増やしていく。それもまた、コワーキングの理念に適っていることですね。

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