もっとコワーキングしよう!〜The Global Coworking Survey 第一報〜

もっとコワーキングしよう!〜The Global Coworking Survey 第一報〜

The Global Coworking Survey

 コワーキングをメインテーマとするドイツのウェブメディア Deskmag では、毎年秋になると、世界中のコワーキングスペースを対象に、”The Global Coworking Survey”というコワーキングの実態調査を行っています。
先日、今年の調査結果の第一報がスライド資料で公開になりました。日本の実情と少々違うところもあるかもしれませんが、世界のトレンドを捉まえておくことは無駄ではないと思うので、主だったところをいくつかスライドを追って紹介しておきます。なお、完全版は来年1月にリリースされるようです。

Global Coworking Survey 2015

コワーキングスペースの成長ぶり

 今世界に、いったいいくつのコワーキングスペースがあるのか想像がつくでしょうか?この調査によると、それは7,800ヶ所にのぼり、2年前の2013年の調査時の3,400ヶ所の実に2倍以上になります。そしてそのうち36%のスペースが、ここ12ヶ月の間に増えていることからも、その急激な成長ぶりが窺えます。ちなみに、スペースの存続期間は平均で32.8ヶ月、2年8ヶ月以上続いて運営されています。

また、2年前に比べて平均30%以上、スペースのメンバー数が増えており、最大のメンバー数を持つスペースはアジア圏にあるそうです。ちなみにそのメンバー数は全体で51万人。前年度(2014年)の29万5千人から1年で70%以上増えていることになります。働き方の多様化とコワーキングの社会に果たせる役割を考えれば、この勢いは当分続くものと思われます。

コワーキングスペースのメンバーとコミュニティ

「今利用しているコワーキングスペースのコミュニティに参加しているという意識はあるか?」の問いに、

  • 29%の利用者が「大変強くそう感じている」
  • 41%が「強くそう感じている」
  • 21%が「多少は感じている」

と回答しています。つまり、91%のコワーカーがコミュニティを意識しているということですが、言わずもがなといったところでしょうか。

そして、「他のメンバーから何を期待するか?」という問いには、

  • 75%の利用者が「カジュアルな会話」
  • 68%が「知識の共有」
  • 66%が「他社とのつながりを楽しむこと」
  • 60%が「新しいアイデアのブレインストーミングやシェアリング
  • 55%が「新しい仕事やプロジェクトの機会をシェアすること」
  • 54%が「知己を得ること」
  • 50%が「素早い手助け」

を期待すると答えています。(上位7位)

面白いことに、51%の利用者が「盗まれる恐れなど考えずにいつもスマホを放置する」と回答しています。コワーキングスペースがコミュニティであり、上記の回答結果のように自身がその参加者であるという意識があればこそでしょうね。

ちなみに、67%のメンバーが他のメンバーのファーストネームを知っていると回答しています。このあたりは、日本では運営者以外ではちょっとあり得ないかもしれません。

メンバーの働き方

「主にどこで仕事をするか?」の問いに、

  • 78%が「オープンスペース」
  • 12%が「チーム・オフィス」
  • 5%が「個人のオフィス」

と回答しています。やはり、オープンスペースでの気軽な会話や情報共有、アイデアの交換などができる、ちょっとしたざわつきの中でいることが好まれるようです。これは、我々の感覚と同じですね。

ちなみに、73%が週に3回かそれ以上コワーキングスペースで仕事をし、そのうち44%は毎日利用しています。個人的にはこの44%が、単にワークスペースとしてだけではなく、あくまでコミュニティの一員として利用していることを願います。

ちょっと注意しておきたい設問が「たまにはコワーキングスペース以外の場所で仕事するか?」で、84%がYESと答えており、一見多いように見えますが、調査のたびにわずかずつですが減っています。一方、NOと答えた人は13%と、これは増えています。コワーキングは働く環境の選択肢のひとつであり、自分のコミュニティを拡げる手段のひとつでもあります。できれば、日によっては他の環境も織り交ぜて仕事場を選ぶ自由度を持っておきたいと思います。

メンバーとスペース

 コワーキングスペースのメンバーによるスペース評価は、平均で8.38ポイントで、毎回そう変化はありません。概ね、居心地がいいということでしょうか。

メンバーのうち47%は非常にしばしばスペース運営者と言葉を交わし、29%はしばしば交わすと回答しています。一方、あまり交わさない、ほとんど交わさない、まったく交わさないメンバーが11%と、中にはそういうメンバーもいるのかというのがぼくの正直な感想です。

ところで彼らはそのスペースをいつまで利用するつもりなのでしょうか。

  • 67%が「ここを出て行く予定はない」
  • 18%が「1年未満」
  • 12%が「3ヶ月未満」
  • 3%が「今月中」

この数字を見る限りでは、定着率は高いようです。

スペース運営者サイド

さて、では、スペースの運営者側の事情はどうでしょうか。

まずは、スペース運営者の就業形態は

  • 65%が「パートタイム勤務」
  • 30%が「フルタイム勤務」
  • 5%が「その他」

でした。「パートタイム勤務」は、前々回の73%、前回の69%から徐々に少なくなっていますが、逆に「フルタイム勤務」は20%→26%→30%と(当然ですが)増えています。これは、コワーキングスペースという業態が社会的認知を得るようになり、利用者も増え、従って数々のオペレーション能力が要求されてくる中で必然的にフルタイムのスタッフを雇用する必要が増してきているということかもしれません。

しかしこれは同時に、「コワーキングを運営する上で最大のモチベーションは何か?」という問いに対して、

  • 73%が「人々とつながりを持ちたいから」
  • 67%が「コワーキング・ムーブメントが好きだから」
  • 67%が「人々のワークライフを改善したいから」
  • 29%が「新しいクライアントを得るいい機会だから」

と回答しているように、いわば「想い」の部分とどう折り合い付けるかという課題を浮き彫りにするものでもあるようです。

他のコワーキングスペース

さらにスペース運営者に対して、他のスペースをどう見ているかの設問が続きます。

まず、「あなたの地域ではコワーキングスペースは多すぎるか、それとも少なすぎるか?」には、

  • 58%が「ちょうどいい」
  • 27%が「少なすぎる」
  • 14%が「多すぎる」

と回答。この設問の意図がどこにあるのか、いろいろ詮索しそうですが、日本だったらどうでしょうか。東京圏と他の地方都市では全然様相が違うので、ひとことでは言えませんが、あえて事業としての収益性を脇に置いて申し上げれば、少なくとも地方ではまだまだ少ないと考えています。

むしろ、地方都市でのローカル経済を駆動するひとつのエンジンとして、規模の大小を問わず、コワーキングというスキーム、またはプラットフォームを整備することが必須だと思います。

さらに突っ込んだ質問に目を見張りますが、「あなたの地域の他のコワーキングスペースは利益を産んでいると考えているか?」という設問に対しては、

  • 35%が「トントン(プラスマイナスゼロ)」
  • 33%が「まあまあうまくいっている」
  • 26%が「やや赤字」

という回答で、なかなか厳しい実情が伺い見えます。「まあまあうまくいっている」は、27%→29%→35%と徐々に増えているので、いい傾向と言えますが、「やや赤字」が増えているのことも無視できません。

日本でもいまや300以上のスペースが全国に開設されていますが、その大半は「トントン」もしくは「やや赤字」かと思われます。そして、この5年ほどの間に、多くのスペースが開業し、また廃業していきました。

スペース単体での収入以外に、別の収益モデルをミックスして維持しているケースもあるように、コワーキングスペースとしてどういう運営をし、どこにその収益源を確保するかは、洋の東西を問わず大きな課題として依然存在します。

どこにスペースはあるのか

海外のコワーキングスペースの写真を見ていると、かなり古いビルディングや倉庫をリノベーションしてコワーキングスペースとして開業している例がいくつもあります。次の設問でも、それが証明されています。

ビルディングの築年齢は

  • 5年以下が9%
  • 6〜20年が19%
  • 21〜50年が24%
  • 51〜100年が24%
  • 100年以上が18%
  • わからないが5%

と、結構古い物件が利用されています。50年以上ともなると、ちょっと日本では考えられないかもしれませんが、近頃では築70年以上の古民家を改造したコワーキングスペースも現れています。古いものを壊して何でも新しくするのではなく、サステナビリティを実践する上ではそういう選択も大いにアリだと思います。そしてそれは、コワーキングの理念とも一致します。

ちなみに、「49%の物件が過去最低6ヶ月は空き家だった」とありますから、物件の有効活用、ひいては地域振興にはとてもいい組み合わせじゃないでしょうか。

82%が賃貸物件を借りていて、物件の平均的賃貸契約期間は54ヶ月、そのうち12%が1年以内に契約期間が満了となるそうです。そのタイミングで、継続するか、やめるか、あるいは場所を変えて心機一転といくか、考えどころです。コワーキングスペースの4軒に1軒が過去少なくとも1回は移転した経験がある、というのは興味深いデータです。

2016年のコワーキングは?

「来年、事業拡張するか?」の問いに、

  • 27%が「現在のスペースでデスクを増やして拡張する」
  • 12%が「もっと大きい物件へ移動する」
  • 35%が「別の地域に追加してスペースを開く」
  • 31%が「拡張しない」

と答えています。冒頭のコワーキング事情を見れば、当然の流れかと思いますね。日本で拡張する事例はまだそう多くはありませんが、コワーカーの仕事環境を充実させるためにも、今後期待したいところです。

そして、コワーキングスペースが2016年に期待するところとして、

  • メンバーが増えること(79%)
  • 収入が増えること(74%)
  • コミュニティらしさが深まること(74%)
  • イベントの数が増えること(61%)

とあります。

調査結果が語るもの

 こうした実態調査では、ややもするとビジネス側に偏りがちな結果が出ることもままありますが、このThe Global Coworking Surveyのアンケート調査においては、スペース運営者もコワーキング当事者のひとりであるケースが多いからでしょうか、コミュニティ運営の根幹を揺るがせずにいかにスペースを維持していくか、実はさまざまな取り組みがなされているように感じます。願わくば、それぞれがその工夫のポイントを開示していただき、世界中で共有できれば、今後のスペース開設者にとってよい指針になると思います。

ただ、データはあくまでデータであって、これから先、未来のことはそこから想像を巡らせ知恵を働かせねばなりません。それには、やっぱりコワーキングをもっと体感することが肝要です。

もっと、コワーキングしましょう。そして、スペースを運営する側も利用する側も、コワーキングが目的ではなくて手段であることをどうかお忘れなく。

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