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もっとコワーキングしよう!〜2016年のコワーキングを予測する〜

もっとコワーキングしよう!〜2016年のコワーキングを予測する〜

以前、途中経過をご紹介した、”The Global Coworking Survey”の2016年版最終結果報告が出ました。やはり、世界中でワーキングスタイルが変革する中、コワーキングは急速に拡張し続けており、この勢いは今年も緩むことはないようです。もちろん、洋の東西を問わず、成長を続けるからこそ抱える課題も多々ありますが、今年中に世界に10,000ヶ所のコワーキングスペースができるだろうとの観測もあります。 そのリポートはここからダウンロードできます。

さて、今回、このDeskmagのリポートに、アメリカはヴァージニアのCoworkaholicが『2016年コワーキング・トレンド〜業界リーダーの洞察』と題して実に興味深いリポートを添えてくれています。今日は、その内容をかいつまんでご紹介します。

出典:2016 Coworking Forecast

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1.ジョイントベンチャー・パートナーシップが旧来の不動産賃貸借を過去のものにする

世界に7800ヶ所のコワーキングスペースがあり、50万人以上のコワーカーに利用されるようになった現在、コワーキングスペースはこれまでとは違って一般人にもローカルエコノミーに影響を与える場所という認識が広まった。WeWorkに170億ドルもの評価額がつき、多くのワーカーが企業に勤める従業員という立場からパートタイム的就業スタイルを選ぶようになるなど、まさに“Future of Work”が始まったと言える。

しかし、そんな中、業界のパイオニアとも言えるNew Work CityやAffinity Lab、Impact Hub (Philadelphia) などは相次いでクローズした。賃貸料の高騰に収益性を維持できなくなったからだ。周辺地域の再開発が進み、賃貸借契約の更新利率も上がり、新しい競争にも直面するに及んで、コワーキング事業者はこれまでの賃貸借契約ではない、不動産オーナーとの新しいパートナーシップを探りはじめている。

その好例が、ニューヨークとシカゴで高品質なコワーキングスペースを運営するGrindだ。Grindは、ベライゾン社と提携し、同社の保有する空室(非有効活用)物件をコワーキングスペースとして運営することでその数を伸ばしている。この場合、コワーキングの収益は両社でシェアする。

「2年前に、この不動産賃貸借契約の枠組みの中にいたのではうまくいかないことが明らかになった。そこで、不動産オーナーとアライアンスを組んで、パートナーシップを構築することに注力するほうがもっとうまくいくと気づいた。」(Benjamin Dyett氏/ Co-Founder, Grind)

こうしたジョイント・ベンチャーは、伝統的なホテル事業開発業に似ている。不動産投資信託と不動産開発業者が提携してホテル物件を保持しつつ、マリオットやヒルトンのようなホテル企業にラインセンス料を払ってブランド使用料やマネジメントをアウトソーシングする方式だ。

「今後は、企業やホテルや大学、あるいは不動産投資信託が、そのオペレーションとコミュニティ・マネージメントをアウトソーシングするジョイント・ベンチャー形式のコワーキングスペースが多く現れるようになるだろう」(Scott Chambers氏/ the President of the Board of Directors of GWA)

解説

コワーキングスペースを開設するのに、必ずしも不動産賃貸借契約が必要なわけではないのは日本でも同じです。テナント不足に悩んでいるビルオーナーとアライアンスを組んで、共同事業としてはじめれば当初コストも少なくて済みますし、早いスタートアップが図れます。

そしてこれは何も大企業相手とは限りません。これと目星をつけた物件のオーナーに、提案してみるのは無駄ではないはずです。ちなみに、筆者も2010年にカフーツを開業する際、最初の1年間はこの手法を取りました。

2.ハイブリッド化と専門化

「専門化は、特定の業種や職域に対してサービスを提供するスタイルで、これはすでにあります。キッチンや物づくりやライターのための設備などをシェアするコワーキングです。ハイブリッド化は、コワーキングスペースをメインに提供しつつ、それに併せてイベントスペースやビデオや音楽のレコーディングスタジオ、レストランやラウンジ、それに育児施設があるコワーキングスペースです」(Melissa Saubers/ Cowork Waldo)

コワーキングは、ただデスクとWifiとコーヒーを提供するだけの場所からもっと違うものへと変われるはずだ。他のスペースといい意味で差別化するためにも、利用者のニーズに合わせてカスタマイズするのは運営者としては自然な発想だ。

実際のところ、育児施設はコワーキングにとって新しい要素ではない。NextSpace は NextKidsという育児施設を併設しているし、Brooklyn Explorers Academyはそもそも託児施設だが、1時間$15で個室オフィスも提供している。

問題は、コワーキングと育児という本質的に違うビジネスが合体する時に発生する。地方自治体は、共用ワークスペースが育児施設を設ける際には、往々にして厳しい規定を設けるが、そのための改装費や事務手続き費用がコワーキング開業コストを跳ね上げさせる。

Play, Work or Dashの創業者であるNicole Dashはこの問題の回避策を思いついた。彼女は、インディペンデントのマーケティング・コンサルタントだが、自宅を育児施設として運営していた。彼女が「イケア・ルール」と呼ぶ解決方法では、育児時間が3時間以下であること、保護者がもともと提供しているサービスの顧客であること、を前提に、あらたに設備を設けることなくワシントンDCの法律をクリアしている。

解説

働く女性が増えてくる一方で、保育施設不足が原因で待機児童も増える昨今、日本でも育児施設付きのコワーキングは徐々に増えてきているようです。この領域の法規制が厳しいのは日本でも同じですが、これも専門事業者とアライアンスを組んで解決することは十分可能と考えます。 また、音楽スタジオやカフェ、あるいはブックストアがコワーキングを併設するケースも、増えてくると思われます。

筆者は、パブリックスペースに規模の大小を問わずコワーキングがある社会が望ましいと考えていて、それは例えば、駅や病院、役所、図書館などですが、地方都市では大学と地方行政、地元企業が一体となって大学内にコワーキングを開設されるようにもなってきています(例:東北公益文科大学)。それともちろん、公民館などはローカルエコノミーの拠点であるコワーキングが置かれる施設として、もっと活用されるべきではないでしょうか。

3.コミュニティをマネジメントするプラットフォームとしてのソフトウェア

メンバーのニーズが進化すれば、スペースオーナーのニーズも進化する。これまで、コワーキングスペースの運営のために多くのソフトがスペースオーナーに提供されてきたが、新しいスペースがよりユニークでニッチになって来ている中、いかに過大なコストをかけずにプラットフォームを提供しカスタマイズするかが課題だ。これまでの簡単な課金システムに、Facebookグループを付け加えるだけでは、スペースオーナーやメンバーが互いに交信するツールとしては通用しなくなってきた。

「運営者は、シンプルで自動化されていて便利だと思うソフトを必要としています。彼らが使うソフトが相互に連携していないために、同じデータを違う場所に何度も入力したり、間違いをしたり、効率が悪いのが現状です。私たちが毎日使うツール、それがスマホであれ、チャットであれ、タブレットやアップルウォッチであれ、情報や人や24時間サービスに瞬時に接続する、いかに『素晴らしいサービス』であるかどうか評価されています。使いやすいか、時間を節約してくれるか、いまこの瞬間に必要な要求を満たしてくれるか、です」(Claire Luik氏/ COO of HubCreate)

新しいプラットフォームであるHubCreateNexudus では、互いに結合するモジュールで作られたソフトウェアのエコシステムを提供しはじめた。さらに、Nexudusの創業者である Adrian Palacios氏は、このシステムをスペース運営の連携システムとしてだけではなく、メンバーとメンバー、スペースとスペースを連携させるツールでもあると考えている。

「コワーカーがいろいろなコワーキングスペースを訪れて、さまざまなスペースのサービスを同時に使い出すようになってから、個々のコワーキングスペースが徐々に繋がるようになってきている。そうしたつながりをオンライン上でも可能にし、複数のコワーキングスペースが提供するサービスを利用したり、その料金を支払ったりすることに、ぼくらは目下のところフォーカスしている。そしてそれは、可能な限り効率的でなければならないと考えている」(Adrian Palacios氏/ Co-Founder of Nexudus)

Facebook at Workは、コワーキング系ソフトの来るべきトレンドを語る格好のサンプルだ。プライベートなメッセージのやり取りから、イベントの出欠表明、ちょっとしたプロジェクトチームのマネジメント機能まで用意されている。

解説

ここでは、コワーキングスペース運営者側が利用する、スペース運営のためのシステムについて語られています。日本でも、コワーキングをテーマにしたシステムが開発されているようですが、筆者が見るにレストランや歯科医などに利用される予約システムと料金支払い機能のミックスに終わっているように思えます。それでは、単なる「お客と店」の金銭授受の関係を自動化するだけで、コワーキング本来のコミュニティとしての機能があまり活かされていません。

Palacios氏が言うように、コワーカーは流動性を持つワーカーであり、その行動様式に沿ったサービスを提供するのが肝要です。殊にここで指摘されている「スペース同士がつながる」というトレンドは、そろそろ日本でも実現されるべきであり、それが相互のスペースの発展のためのみならず、日本のワーキングシーンをさらに機能的な環境へと劇的に変えると考えています。

4.新しいマーケティング手法:体験、ライブイベント、そしてスポンサーシップ

FreshBooksは、カナダはトロントを本拠とする、スモールビジネス向けのクラウド会計サービスを提供する企業だ。創業者のMike McDerment氏は、実家の地下室で起業した後、ソフトが人気を呼ぶようになってからチームをコワーキングスペースに移した。いまや同社は1000万人以上の顧客を抱え、250人以上の従業員を持つようになった。もちろん、もはやコワーキングスペースにはいないが、今でもコミュニティの中で仕事をすることの利点を忘れてはいない。それが、彼らのターゲット層とつながるために、資金とリソースをコワーキングスペースを通じてダイレクトに割り当てている主たる理由だ。

こうした、コミュニティのメンバーにリーチしたいと考える企業からのスペースへのアプローチは、日に日に増えている。

「旧来のマスメディアではターゲットにリーチするのがどんどん難しくなっているので、賢明なマーケッターは顧客との新しい接点を探している。そのための戦略のひとつが、企業と消費者とのリレーションシップを構築する体験マーケティングだ。若くて頭が切れ、都会的で起業家精神に富むインフルエンサーとのつながりを得る素晴らしい場所、それは成長を続けるコワーキング・ムーブメントの中にある。

企業人からフリーランサーや起業家へと働き方が大きくシフトするにつれ、コワーキングスペースは新しいオフィス、新しい労働体験となる。コワーキングスペースにはコミュニティがあり、コラボも起こり、そして楽しい。マーケティングを行えば、かなり大きなインパクトがある。アメリカはおろか世界中でコワーキングスペースは、衰えることなく増え続ける。我々は、2016年とそれ以降、コワーキング・コミュニティの中で企業ブランドを育む機会を得ていくつもりだ」(Craig McAnsh氏/ Founder, Mojo Coworking & CoActivate Network)

解説

いわば、草の根マーケティングですが、もともとコワーキングスペースに集まる属性がある程度特定できているので、イベントで体験させて、ソーシャルメディア上での拡散効果を含めれば、相当効果が上がると思われます。

ただ、日本でもさまざまな形でスポンサードされたイベントを、コワーキングスペースのプログラムに盛り込むことがありますが、このような大手の企業が大々的なキャンペーンを張るようなケースはまだ見受けられません。

ちなみに、コワーキング協同組合では、各地のコワーキングスペースを対象に、スポンサードされた各種のイベントを企画中です。

5.ノマド生活は個人のものではなく家族のものでもあり、生き方の文化として受け入れられている

ベビーブーマー世代は、決められたスケジュールに則り、期限を守り、慣習に則り、責任をもって役割を果たし、確固とした雇用制度に従うよう育てられてきた。学位を取り、配偶者を見つけ、家族を育て、安定と安心を約束するひとつの組織に全生涯を捧げて仕事をする。

こうした安定と安心は、広大な家、贅沢な車など、いかに多くのものを持つかによって測られてきた。しかし、2008年、世界金融危機が起こり、ミレニアル世代が前代未聞の学費ローンに苦しむようになるにつれ、人々の関心はたくさんの物を持つことより、蓄積できる経験を積むことに移った。 親たちがルールに従った結果、仕事を失い、老後の蓄えや家までも失ったのを目撃した30歳台の人たちは、自分自身の人生をコントロールするために物を持たない方を選んでいる。

「ある意味、長時間人のために働くということは、たとえどんなにサラリーがよかったとしても、柔軟性がないしオーナーシップに欠ける。息子が生まれた時、僕たち夫婦はふたりともいい給料のIT企業に勤めていたが、家内はしばらくのあいだ息子の育児のために仕事をやめることを提案した。それは私自身のキャリア設計を考えなおすいい機会だと思った。しかし、2年後、私のサラリーは住宅ローンやクルマ、家、それらの保険、公共料金、インターネット、モバイル、ケーブルなどに支払うのに精一杯だった。10年間、同じ会社で週に60〜70時間働いてきてそんな有様だった。もはや、50年以上も前、僕たちの親や祖父母の時代に紙にペンで書かれたシナリオに従って役を演じる必要などない。

僕たちは家やクルマを売り払い、持ち物は記念品を収めたいくつかの箱だけにして、家を売った資金でビジネスを始めた。かつてないほどハードに働いているけれども、家族と一緒にいる時間は以前と比べて100%ベターだ。オフィスでの仕事に疲れ果てて半分死んだ状態でいるより、家族といるほうがずっと幸せだからだ。生意気で利己的で厚かましいかもしれないが、僕たちは自分たちが働きたい時に、働きたいところで、自分たちのために働きたいし、自分を閉じ込める鳥かごを創るために金を浪費するより、快適な世界にいることのほうを望む」(David Keys氏/ Co-Founder of Nomadica)

解説

モノではなく体験、というのは、このところマーケティングの世界でもよく交わされるキーワードです。コワーキングスペースの利用者層には、こうした旧式な価値観にアンチを唱える人たちが多くおられるわけですが、ここでよく注意しておきたいのは、一箇所にとどまることのリスクを回避するために、モノを捨てるだけではなく移動の自由を持つことにした、ということです。これは、コワーカーが未来永劫、同じスペースで仕事をするということを、もちろん否定します。

ややもすると、コワーキング運営者は利用者を「固定化」しようとします。施設の維持のためには、毎月ある程度確定した収益源が必要だからです。そのことは、今回の”The Global Coworking Survey”の調査結果にも如実に現れています。しかし、そもそもコワーキングのメリットは移動できる、流動性を維持できるということです。コワーキングは彼らの働く環境の選択肢の一つでしかありません。 簡単に言うと、会社のオフィスの代わり、という物理的(あるいは、設備的)な選択ではなく、働き方(=生き方)という方法論の選択なのです。

コワーキングがスタートアップや起業家を支援するのは、彼らが成長へ向けて通過するある一時期をサポートする、ということですが、それは単にオフィスコストを低減することに協力するということのみならず、彼らの生き方をも支援するという意識が必要だと思います。

6.コワーケーションが流行し、新しい学び方をサポートする

デジタル・ノマドのひとつの形であるコワーケーション(Coworkation)は、リモートワークを許された会社員や、冬の間自宅で働くのを逃れてきたフリーランサーに、バケーションを組み込んだコワーキングとして提供されるプログラムだ。一週間はネットにつながらない状態に自分を置き、探検や小旅行がミックスされる。

リモートワーキングしながらリゾート地に滞在すれば、旅行体験をもっと素晴らしい物にできる。旅行代理店にとってもコワーケーションのパッケージならオフシーズンにディスカウントして提供できるし、空室在庫を減らせる。発展途上国では、3週間以上滞在してドルやユーロやポンドでモノやサービスにお金を落としてくれるコワーケーションの経済効果に細心の注意を払っている。

コワーケーションはいまのところ個人でプランされることは少ないが、Copass や Coworking Campでは宿泊先やアクティビティ、そしてもちろん利用可能なコワーキングスペースをセットにしたおまかせパッケージを提供している。

「コワーキングの世界がダイナミックに広がりつつある中、バリのHubudのようなスペースでは、アーティストや企業からスピンアウトした人、社会起業家、世界旅行中の家族など、あらゆる人たちを受け入れています。コワーキングは、普通のツーリストがするありがちな旅行ではなく、新しい世界を探索する個人やカップル、家族を受け入れるのです。

いままでなら、子供をつれて旅行したいと思ったら、あなたは仕事をやめ、子供を学校から連れださなくてはなりませんでした。それが今では、海外にいても子供に教育を受けさせ、同時に仕事もできるようになっています」(Renee Martyna氏/ Co-Founder of Hubud & Turnpoint)

解説

リモートワークは、ようやく日本でも現実のこととして語られ、導入する企業も少しず現れてきました。その実践の場としても、コワーキングスペースはよく使われます。ただ、ここで紹介されるコワ―ケーションのように、海外に長期滞在してリモートワークを楽しむというのは、個人レベルではあるかもしれませんが、少なくともコワーカー全体のトレンドとしてはまだまだ現実的ではないというのが現状かと思います。

ただし、そろそろ、日本人コワーカーも、コワーキングというものがただ仕事をするためのコワーキングスペースを意味するのではない、もっと大きく捉えて生き方を選択する方法であると気づいてもいい頃だと思っています。

流動性がコワーカーの特権であるとするならば、そして、日本人コワーカーも新しい労働環境と人のつながり、つまり新しい社会を求めるならば、日本からコワーケーションのツアーが出発するのも時間の問題かもしれません。と言ってる筆者も、実はそのプランを練りはじめています。詳しくはあらためてご案内しますのでお楽しみに。

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