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最近話題のブロックチェーン、その基礎の基礎

最近話題のブロックチェーン、その基礎の基礎

ブロックチェーンとは何か?

ブロックチェーンはビットコインの仕組みを考案したSatoshi Nakamotoがその論文の中でビットコインを支える仕組みとして登場します。ブロックチェーンでは、一定時間の取引の帳簿をまとめてブロックとよばれる形式で、分散された複数の場所(コンピュータ)に保存されます。ビットコインではこのブロックは約10分ごとに生成されるように調整され、それぞれのブロックは鎖のようにチェーンという形でつながっています。

このようにブロックチェーンは世界規模の中央管理者がいないP2P(ピア・ツー・ピア)のネットワーク上で分散された台帳を構成しています。そしてブロックチェーンは暗号化技術を駆使していることで、極めて不正や改竄に強い仕組みを提供しています。

余談ですが、このSatoshi Nakamotoはその名の通り日本人のように思われますが、偽名であるといわれています。そして、その正体は未だ分っていません。

なぜビットコインとともに注目されているのか?

ビットコインのメリットはいくつかありますが、利用されている理由として手数料が無料もしくは非常に安価であること、そして決済や送金がはやいことが上げられます。これまで煩雑な手続きと手数料、時間がかかっていた国際送金がわずかな手数料ですばやく行うことができます。ちなみに、大手家電量販店であるビッグカメラでは、4月からビットコイン決済が可能になりました。

また、ビットコインは投資対象としても注目されています。例えばビットフライヤのサイトをみると2017年1月6日には1BTCが115,993円でしたが、半年後の2017年6月6日現在317,616円となっています。

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bitFlyerのビットコインリアルタイムチャート【価格・相場】

ブロックチェーンはビットコインを支える技術ですが、通貨以外のさまざまな分野にも応用できます。例えば、金融商品である株式の取引や保険の契約に用いることができます。他にも医療、公共、エネルギー、サプライチェーンなどその応用は無限に広がります。

また、ブロックチェーンの特徴を活かして投票や選挙にも利用しようという取り組みがあります。一例としては、アメリカのNASDAQではブロックチェーンを用いた株主投票の実証実験を開始しています。このようにビットコインを通貨以外に適用される形態はビットコイン2.0とも呼ばれています。

これまでの中央管理者がいる仕組みと何が変わるのか?

これまでの仕組み

これまで預貯金や決済では銀行やカード会社などの中央管理者が存在します。そこでは顧客の情報を保持したり、入出金や決済を行なうために銀行やカード会社は自前でシステムを構築、運用しています。

このようなシステムでは入出金や決済など取引の正確性を担保するだけではなく、不正や改竄の防止、さらには障害が発生しても取引の情報の不整合やシステムの停止がないようにしなければなりなりません。

そのためその開発に莫大な期間、コストがかかります。さらにそのシステムを運用、維持するためにも、巨額のコストと多くの人員を投じてしています。いわば、その機能が中央の機関に依存する集中システム、集中データベースとも言えます。

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改竄や不正に強いブロックチェーンの仕組み

それに対して、ブロックチェーンは中央が存在しない分散システムであり、参加者全員が取引台帳を保持する分散データベースです。ブロックチェーンにおいては、取引はある時間でまとまったブロックと呼ばれる取引台帳として参加者全員が共有、保持しています。

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そして、それぞれの取引台帳であるブロックは直前のブロックとつながっており、かつ直前のブロックの内容のハッシュ値(※1)を保持しています。このような状態である特定のブロックを改竄すると、ハッシュ値が変化し、次のブロックが持つハッシュ値と合わなくなり、改竄されたことが分ります。

ブロックチェーンにおいて取引は「トランザクション」といいます。このトランザクションを実行するためにはブロックチェーンの参加者間での合意形成が必要です。この合意形成のためのブロックチェーンの仕組みを「コンセンサス・アルゴリズム」といいます。

代表的なものとしてビットコインのプループ・オブ・ワークがあります。これは参加者全員によってマイニング(※2)を競い合うことにより行なわれます。このようにコンセンサス・アルゴリズムによって複数の参加者が合意形成を取りながら正しい取引を記録していくことで、一部の参加者の不正を阻止することができます。

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ビットコインにはビットコイン・エクスプローラというサイトがあり、ビットコインの取引の状況、ブロックの状況をリアルタイムに見ることができます。

ビットコインブロックエクスプローラ - Blockchain 


このサイトでは最新のブロックがいくつかリストされます。

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そのうちのどれかのブロック番号をクリックすると該当するブロックの構成を見ることができます。以下はブロック番号470946のブロックの情報です。

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このビットコイン・エクスプローラによりブロックの仕組みのより理解が可能かと思いますので、皆さんも是非お試し下さい。

※1「ハッシュ値」
データを識別するためにデータに対してハッシュ関数を適用することで得られる固定の長さの文字列。異なるデータが同じハッシュ値になる可能性は極めて低いことから、データの識別に用いられます。データの1文字でも変更するとまったく異なるハッシュ値になるので、データの改竄を防ぐための署名などで用いられます。ビットコインではこのハッシュ値にsha256と呼ばれる256ビットのハッシュが用いられます。

※2「マイニング」
日本語では採掘と訳され、金やダイヤモンドの採掘を比喩したもの。ビットコインでは新たな通貨の発行は採掘を通してのみ行われます。ビットコインでは取引をまとめたブロックが一定時間ごとに書かれますが、このブロックの整合性を保つためには膨大なコンピュータの計算量が必要です。ブロックの整合性の維持、つまりビットコインの健全な運営に貢献した者に報奨としてそれに見合ったコインが与えられるのです。

ブロックチェーンの形態

ちなみブロックチェーンにおける合意形成を行なう参加者の形態により、パブリック型、コンソーシアム型、プライベート型の3種類があるといわれています。

ビットコインやイーサリアムは誰でも参加者として運営するパブリック型です。リップルのように複数の認められた参加者の形態はコンソーシアム型、そして単独の運営者の場合はプライベート型です。

これらはそれぞれメリット、デメリットがあります。パブリック型は民主的ですが、より多くの参加者の合意を取りつける必要があり、トランザクションの実行には時間がかかります。

高い対障害性

ブロックチェーンのもう一つの特徴は、障害に強いということです。参加者全員が取引台帳であるブロックを保持しているため、一部の参加者のコンピュータに障害が発生しても、その影響を受けません。これは分散システムの特徴です。ビットコインが2009年に稼動しはじめてから、一度も停止したことがないのはそのためです。

コスト面でのメリット

複数の参加者が自らのコンピュータ、ネットワークリソースを提供して運営しているため、個々の参加者の運営コストは下ります。そしてシステムの開発、構築のコストも低いです。ビットコインやイーサリムはオープンソースであり、かつそのサービスは提供されているため、これまでのように高いコストと長い時間をかけてシステムを開発する必要はなく、いつでも参加者として参画することができます。

どんな使い道があるの?

ブロックチェーンの利用はこれからであり、まだ実証実験的なものが多いですが、いくつか事例をご紹介します。

ダイヤモンド取引情報のブロックチェーン

イギリスのEverledger社ではダイヤモンドの所有権や権利の移転においてブロックチェーンの技術を用いています。ダイヤモンドの採掘、研磨、保管、販売、権利移転に関する履歴をブロックチェーンで管理し、オープンにすることでダイヤモンドの健全かつ透明な取引市場を目指します。ブロックチェーンはダイヤモンド市場を偽造品や盗難品から守ります。

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参考記事:http://dapps.hatenablog.com/entry/2016/12/05/160000

音楽著作権のブロックチェーン

音楽業界では著作権を証明するためにブロックチェーンを用いるための取り組みがあります。dotBCは作詞・作曲や演奏者、著作権などの権利者の情報をメタデータとしてMVD(Minimum Viable Data)と呼ばれる形式で音楽ファイルに埋め込みます。そしてこの音楽ファイルが売れるたびに、複数の権利者にあらかじめ決められた分配率でロイヤリティが自動的に加算される仕組みをブロックチェーンを用いて実現します。

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参考記事:http://wired.jp/series/future-music-makers/03_dotbc/

IoTとブロックチェーン

ブロックチェーンはIoTとも親和性が高いと言われています。IoTにおいてはデバイスの正しい利用者における正しい利用が課題です。その一例として福岡の株式会社Nayutaの取り組みがあります。かれらは電源ソケットの使用権をブロックチェーンの技術を用いて実現したプロトタイプを発表しました。

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参考記事:http://btcnews.jp/nayuta-released-iot-blockchain-powered-power-socket/

国内でもGMOなどがブロックチェーンとIoTを用いて本人のみ受け取り可能な宅配ボックスの実証実験を行っています。

参考記事:http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/122003804/?rt=nocnt

国家ブロックチェーン

1991年に旧ソ連から独立したバルト 3国のひとつである人口130万人のエストニアはSkypeを生んだ国です。エストニアではITを国を挙げて推進していますが、e-estoniaというICチップ入りのIDカードを配布し、納税・選挙・仕事などの情報を管理しています。さらにはe-residentというIDカードを発行し、取得すれば外国人でも、エストニアに会社を設立することが可能にしています。

このようなIT先進国のエストニアにおいて土地登記、婚姻届、パスポートなどのID、財産権の記録などの国のサービスをブロックチェーンを用いて行おうとする取り組みがあります。これはビットネーションと呼ばれ、イーサリアムを用いて国家の公証サービスを自動化する試みです。

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参考記事:http://businessblockchain.org/blockchain-can-change-system-of-the-country

エネルギーとブロックチェーン

海外ではエネルギー業界においてもブロックチェーンの取り組みが始まっています。LO3エネルギーはニューヨーク州のブルックリンにおいてブロックチェーンを利用して過程で発電した余剰の太陽光発電を近所で売買するシステムを提供しています。LO3エネルギーでは1年前にブロックチェーン技術を用いてピア・ツー・ピア型のマイクログリッドシステムを開発しています。

参考記事:http://ascii.jp/elem/000/001/474/1474454/ 

農業とブロックチェーン

農業においてもブロックチェーンの取り組みがはじまっています。ISIDのイノラボ、エストニアのガードタイム、大阪のシビラが協業して宮崎県綾町の有機農産品の安全を消費者にアピールする仕組み作りを実証実験として行いました。

綾町は特定非営利活動法人「日本で最も美しい村」連合の加盟自治体の一つであり、その有機農産品は独自の農地基準と生産管理基準に沿って「金」「銀」「銅」のランクが付与され販売されていますが、ランク付けに至るプロセスや価値が、消費者には十分に届いていないという課題があり ました。

綾町はこのプロセスを経て出荷される農産品に、独自基準による認定マークとともに固有IDを付与するブロックチェーン技術を用いることで、その農産品が間違いなく綾町産であること、綾町の厳しい認定基準に基づいて生産されたものであること、それらの履歴が改ざんされていないことなどを証明します。

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参考記事:https://japan.zdnet.com/article/35091110/

そこにはビジネスチャンスってあるのか?

ブロックチェーンは破壊的テクノロジーと呼ばれ、その市場規模は68兆円とも予測されています。ブロックチェーンが普及するとあらるビジネス、業界の参入障壁を下げ、そのことにより新たなビジネスモデルが次々と生まれてくることが期待できるのです。例えばイーサリアムではそこで動くアプリケーションをDApps(※3)の形で開発、公開する仕組みをすでに提供しています。

※3「DApps」
DappsはDecentralized Applicationsの略で非集中で中央を持たない分散化されたアプリケーションのことです。ビットコインそのものがビットコインの基盤上で動く DAppsです。Ethereumではスマートコントラクトを利用して、通貨以外の取引などのアプリケーションをDAppとして開発して、公開する仕組みを持っています。

しかし、ブロックチェーンは登場してまだ時間が経っていないことから、未成熟であり、解決すべき技術的、非技術的課題があります。このようなことから、ブロックチェーンが普及するまでにはもう少し時間を要すると考えられています。ここで紹介した事例もまだ実証実験フェーズの域のものが多いのも事実です。

ビットコインやブロックチェーンはハッキングなどセキュリティなどの問題が発生するたびに話題になり、換金価格が低下するなど、その評価が一時的に低下しています。しかし、その度に対策を行うことでより現実の問題に対応できるようになっています。その証拠としてビットコインやイーサリアムの通貨は問題が発生すると下落しますが、問題に対応すると回復し、長期的にみると上昇傾向になっています。

ビジネスにブロックチェーンを利用するにあたっては、既存のビジネスの一部をブロックチェーンで置き換えるだけではうまくいかないのではないのでしょうか。ブロックチェーンを用いることで、既存のビジネスモデルを変革し、そのメリットをエンドユーザが享受できるかどうかをしっかりと考える必要があります。

ブロックチェーンは分散管理技術を中心とした参加者のすべてがメリットを得ることができるテクノロジーです。その性質から特定のビジネスのみならず、業界や社会、国家までも変革する可能性を秘めています。

読者の皆さんも、日常の業務やいま考えられているビジネスにブロックチェーンを用いた場合に何がよくなるかを考えてみられてはいかがでしょうか。それがいずれ、大きなビジネスになる可能性もあるかもしれません。

著者について

橋本 誠
プログラミング言語、特にLisp、関数型言語に興味あり。
『Cloujure Programming Cookbook』という書籍をPackt Publishingから共著で出版。

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