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これからの働き方「テレワーク」、企業の導入メリットは?

これからの働き方「テレワーク」、企業の導入メリットは?

2016年の総務省の通信利用動向調査によると、テレワークを導入している企業は約13%にとどまっている。従業者数300名を超える規模の企業においては、「導入済み」あるいは「導入を検討中」を含め約30%となっているものの、それより企業規模が小さくなるに連れて導入率は低くなり、20名以下の企業にいたっては5%に満たないのが現状だ。

中小企業においてはあまり周知されていないか、認識していてもテレワーク導入に要するコストや社内のさまざまな制度の見直しなど、いわばデメリットにばかり注意を奪われている感がある。

政府は2020年の東京オリンピックに向けて、全企業の30%強のテレワーク導入を目指しており、そのための普及推進施策や助成制度に力を入れている。

そこで今回は、企業のテレワーク導入によるメリットと、導入に際しての課題を解消するための国や自治体の援助、助成について紹介する。

テレワーク導入によるメリット

企業がテレワークを導入することにより、「生産性の向上」「優秀な人材の確保」「事業継続性の確保」「環境負荷の軽減」「オフィスコスト削減」「雇用創出と労働力創造」「ワークライフバランスの実現」の大きく7つのメリットがある。

生産性の向上

テレワークの導入により、まず生産性・効率性の向上が期待できる。例えば、テレワークの一つであるモバイルワークの場合、客先への訪問時に企業のオフィスを経由した移動ではなく、自宅から直接客先へ移動することで訪問回数や訪問時間、訪問件数の増加につながる。また、モバイル端末の活用により移動中の時間を有効に活用することで、生産性や効率性を向上させることが可能となる。

下のグラフは平成29年度国土交通省によるテレワーク人口実態調査からの引用だが、雇用型テレワーカー(企業に属するテレワーカーのこと。他に、企業に属さない個人事業主、自営業のテレワーカーとして自営型テレワーカーという分類がある)は、テレワークの導入により得たプラス効果として、ほぼ半数が「業務の効率が上がった」と回答している。

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出典「平成28度テレワーク人口実態調査-調査結果の概要」国土交通省

優秀な人材の確保

現代は、企業で働く人材の創造性や独自性が、その企業の競争力を大きく左右する時代だ。従って、これら創造性や独自性を生み出す優秀な人材が必要となる。

創造性や独自性で力を発揮していくためには、その企業で働く意義を自らが見い出し、積極的に仕事に取り組むためのモチベーション(動機付け)が重要だが、有能な、とりわけミレニアル世代のワーカーには多様なワークスタイルを志向する傾向が強い。

テレワークによって柔軟な働き方ができる環境を提供することで、こうした人材の確保と同時に流出(リテンション)を防ぐことができる。

例えば、女性従業員を例に挙げると、出産・育児・介護あるいは配偶者の転勤などによって退職・離職せざるを得ない場合でも、通勤を伴わない働き方であるテレワークを導入することにより、これを防ぐことが可能となる。

事業継続性の確保

震災や水害などの大規模災害にオフィスはもちろんのこと、近郊が被災した場合、社員の通勤を前提にしている事業体は途端に事業継続が難しくなる。これは、インフルエンザの大流行などパンデミックが発生した際にも同じことが言える。

テレワークを導入している企業の場合、そもそもオフィスへの通勤の必要がないので、災害で麻痺した交通網に行動を制約されることなく、非被災地での事業継続が可能だ。ちなみに、東日本大震災直後ならびに計画停電時に日本テレワーク協会が行った調査によると、テレワーク導入企業の61.5%が通常と同じように仕事ができたと回答している(非導入企業は40%と回答)。

こうした非常時における事業継続計画のことをBCP(Business continuity planning)と呼ぶが、企業の存続のみならず、社会のさまざまな機能の維持継続のためにも不可欠な要件と言える。

一例を挙げると東日本大震災時、インテルジャパンのつくば本社(当時)は、300人を超える従業員が地震発生から3日後には遠隔勤務によって業務を再開できた。

また、アメリカでは同時多発テロの際にテレワーク(在宅勤務)を採用していた企業の事業再開が素早かったことから、それ以降テレワークを導入する企業が増えている。テレワークは事業継続性とリスク分担において有効な働き方であることがよくわかる。

環境負荷の軽減

テレワークの導入により通勤者が減少し、オフィスの省力化によって電力消費、CO2排出量の削減となる。

オフィスコスト削減

オフィススペースが縮小し、デスクやイスなど事務用具も要らなくなり、情報共有もデジタルに行うためコピー用紙や配布用資料のためのペーパーコストも削減できる。加えて、通勤・交通コストの低減は大きい。

雇用創出と労働力創造

通勤が困難な障害をもつ人、高齢により退職した人、育児・介護等でリタイアを余儀なくされた人、夫の転勤により遠方に引っ越した女性、地方に住む遠方居住者などの雇用を創出し、労働力を創造することが可能となる。

ワークライフバランスの実現

自宅などリラックスした空間で仕事ができる事により、育児や家事との両立などからプライベートライフの満足度が向上し、ひいては仕事に対する意欲も増し、生産性の向上につながる。

テレワーク導入への課題

一方でテレワークの導入に関してクリアしなければならない課題が何点かあり、これがテレワーク普及へとつながっていない要因と考えられる。以下に、テレワーク導入への課題をまとめてみた。

労務管理・人事評価

社員のスケジュール管理、勤怠管理などの労務管理が難しくなる点がテレワーク導入の最大の課題として挙げられる。

しかしながら、厚労省の調査「平成27年度テレワークモデル実証事業テレワーク活用の好事例集(リンク先PDF)」によると、実際にテレワークを導入している企業のうち労務管理という課題に関して悩みと挙げている企業は3割程度に過ぎない。

近年のソリューションの低廉化と高度化により、この問題はある程度解決することが可能になったと言える。また、労働時間よりもノルマ達成という成果主義へ移行してきた事も課題解決の要因と見られる。

情報セキュリティの確保

社内データであったものが、テレワークにより社外にデータが持ち出されるため、十分なセキュリティ対策と取り扱いルールが必要となる。VPN接続によるテレワーカーとのネットワーキングを実施する一方、カフェなどの情報漏えいが心配される屋外での作業の禁止等など、新しいルールづくりが必要となる。

生産性向上などのメリットが得られない

テレワーク導入による社員間のコミュニケーション不足から、結果として生産性が低下するのではないかと懸念する未導入企業が多い。適切にテレワークを導入すれば生産性が低下することはないが、社員間のコミュニケーションや業務への取り組み方などのルールを設け、かつテレワークのためのツールを適正に活用しなければ生産性が低下しかねない。また、その際、外部の専門家のアドバイスを求めるなどのコンサルティング・コストが発生する場合もある。

テレワーク導入コスト

特に中小企業にとっては大きな課題となるのがテレワークの導入コストである。IT端末やソリューションの低廉化で導入しやすくなったとはいえ、効果が具体的に数値化できないため費用対効果を算出することが難しく、結果としてテレワーク普及への大きな壁となっている。

対象業種・職種の限定

2018年度の総務省通信利用動向調査(リンク先PDF)で、テレワークを導入しない理由として、「テレワークに適した仕事がないから」という回答が約75%と突出している。
実施企業のテレワークの導入は、いわゆるホワイトカラーと呼ばれる職種と、外回りが多い販売や営業職が中心となっている。このような導入しやすい職種は全労働人口の4割程度で、残りの6割を占める場所を特定される職種に関しては導入が難しいのが現状だ。

テレワーク普及に向けての国や地方自治体の支援・助成制度

「世界最先端IT国家創造宣言」や「働き方改革」においてはテレワークの普及が重要な役割を担っており、前述のように2020年の東京オリンピックに向けて、現在の約3倍の普及率を目指すことから、国や地方自治体は企業のテレワーク導入へのさまざまな支援、助成制度を設けている。

お試しサテライトオフィス

試験的にテレワークを体験するために、各地の地方公共団体がサテライトオフィス開設、提供している。自然に囲まれた豊かな職住環境に、東京などの大都市オフィスと同水準のICT環境でテレワークを体験できる「お試し勤務」がある。

現在全国以下、18の地方公共団体にお試しサテライトオフィスがある。

・青森県弘前市・秋田県大館市・千葉県銚子市・新潟県南魚沼市・福井県鯖江市・京都府京丹後市・島根県松江市・山口県・徳島県・鹿児島県錦江町・北海道下川町・群馬県みなかみ町・千葉県南房総市・岐阜県高山市・愛知県岡崎市・静岡県南伊豆町・奈良県・鹿児島県伊仙町

・お試しサテライトオフィスホームページ 
・お試しサテライトオフィスFacebookページ 

テレワーク相談センター

テレワーク導入に関する情報提供・相談サービスなどをワンストップで実施する、厚生労働省が委託事業としてはじめたサービス。テレワーク導入予定企業に労務管理の専門家を無償で派遣してくれる他、テレワーク活用事例の紹介、テレワーク導入についての疑問、助成金申請の手続き、企業への訪問相談も行っている。

・テレワーク相談センター 

※東京都の企業は昨年7月に開設された「東京テレワーク推進センター」が対象となる。
東京都文京区後楽二丁目3番28号K.I.S飯田橋ビル6階
東京テレワーク推進センター・テレワーク相談コーナー
フリーダイヤル 0120-97-0396

職場意識改善助成金(テレワークコース)

テレワークを導入する、あるいは導入後でも助成可能な中小企業を対象とした助成金制度。対象となる中小事業主は業種ごとに一定の規模以下となり、テレワークを新規で導入する(試行的に導入している場合も可)、またはテレワークを継続して活用する必要がある。継続活用する場合、過去に本助成金を受給したとしても、対象労働者を増加してテレワークに取り組むと2回まで受給が可能だ。

評価期間が設けられ、成果目標の達成状況に応じて助成額が変わる。成果目標達成時は補助率4分の3、未達成時は2分の1が助成される。ただし、一人あたりの上限額が達成時15万円、未達成時10万円、一企業あたりの上限額が達成時150万円、未達成時100万円を超えない。

・職場意識改善助成金(テレワークコース)紹介ページ 

まとめ

テレワークはこれまでの働き方とまるで違う労働環境を整備することを意味する。長年、会社へは「通うもの」ということが常識であったが、社会の成り立ち方が劇的に変化する現代では、それはもう過去のものになりつつある。

もちろん、組織としての抵抗は大きいだろう。だが、働くことの価値観が会社に帰属することでなくなり、多様な働き方が求められるようになった今、そうした懐古的な抵抗は、働く人びとの満足感や、ひいては生き甲斐をも犠牲にするほど意味のあるものではない。

とりわけ、これからの労働人口の中心になるミレニアル世代の前では無力であり、むしろ彼らのパフォーマンスをいかにアップするかを検討すべき局面にある。テレワークは、その端緒であり、企業の存続を左右する経営上の重要な選択肢である。そして、大きくはもっと世界を変えるリモートワークの序章でもあるのだが、そのことはまた別の稿で触れたい。

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