働き方が変わる「テレワーク」の政府・地方自治体の取り組み

働き方が変わる「テレワーク」の政府・地方自治体の取り組み

平成28年に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」にテレワークの普及が盛り込まれ、「働き方改革」においてもテレワークの普及が大きな課題となっていることから、政府も総務省、厚生労働省、国土交通省、経済産業省が連携して、その普及促進に力を入れている。今回は、政府ならびに各地方自治体のテレワーク普及促進施策についてまとめてみた。

各国のテレワーク企業導入率

9割近い企業のテレワーク導入率となっている米国を筆頭に、イギリスが約38%、ドイツが約22%、フランスが約14%とEU諸国においても導入が進んでいる。意外にもアジアのIT先進国である韓国は1%にも満たない。
日本は2014年時点では11.5%だが、政府は2020年までに「テレワーク導入企業を2012年度比で3倍」(30%強)、「週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上」とする目標を設定している。

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※米国:2015年、EU諸国2010年、韓国2015年、日本2014年のデータ
出典:「テレワーク推進に向けた政府の取組について」総務省

各省庁の役割

このテレワーク普及促進施策における各省庁の役割は以下のとおりだ。

総務省「情報通信政策

テレワーク推進に関する高度情報通信基盤の整備及び利活用促進を担う。主な事業内容としては、テレワークモデル実証事業、ふるさとテレワーク推進事業、テレワークマネージャー等の派遣、テレワークセミナーの開催、テレワークデータベースの構築、情報通信基盤の整備、公衆無線LAN環境の整備促進など。

厚生労働省「労働政策

適正な労働条件化におけるテレワークの普及促進を担う。主な事業内容は、総務省と連携したテレワークモデル実証事業、職場意識改善助成金、テレワーク相談センター・訪問コンサルタント、テレワークセミナーの開催、表彰・企業向けシンポジウム、業界団体と連携した支援、好事例の周知・啓発、労働者向けシンポジウムなど。

国土交通省「国土交通政策

都市部への人口・機能の集中による弊害の解消と地域活性化等を担う。主な事業内容は、テレワーク展開拠点構築検討調査の実施、テレワーク人口実態調査の実施など。

経済産業省「産業政策

テレワークに係る産業振興を担う。主な事業内容は、企業等に関するテレワークの普及啓発など。

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出典:第40回仕事と生活の調和連携 推進・評価部会資料(総務省)

テレワーク普及促進に向けた連携施策

また、各省庁は相互に連携して以下の施策の実施を行う。

現状把握・目標設定

国土交通省によりテレワークの実施状況やテレワーカーの意識・実態調査を実施する。また、内閣官房IT室によりテレワーク推進に関する政府目標を設定する。

環境整備

総務省、厚労省により、テレワーク導入に向け、業種・業務、職制、企業立地などを踏まえ、以下の8つの導入モデルを構築し、導入に必要な機器・制度を整理する。

※8つの導入モデル
1.大企業・事務職・在宅勤務
2.中堅企業・事務職・在宅勤務
3.小企業・事務職・在宅勤務
4.中堅企業・研究職・在宅勤務
5.小企業・研究職・在宅勤務
6.大企業・事務職・モバイル
7.中堅企業・営業職・モバイル
8.小企業・営業職・モバイル

普及展開

「意識改革」として内閣官房・内閣府による女性活躍、ワークライフバランスを推進し、また国家公務員のテレワーク導入を推進する。
「ノウハウ支援」として総務省・厚労省によるテレワーク導入の専門家を企業へ派遣、相談センターでの助言等を実施する。
「導入補助」として総務省・国土交通省による、ふるさとテレワークのICT環境整備や古民家改修等の補助を行う。また、厚労省により民間企業等の導入機器等の費用を助成する。
「周知・啓発」として総務省・厚労省・経産省による表彰、セミナー、事例周知する。また、経産省による30万社導入予定の「おもてなし規格認証」で、テレワークによる働き方を面的に普及させる。

テレワークの普及・活用に向けた政策優先事項

さらに政策面でも以下の優先事項を設定している。

大企業におけるテレワーク普及促進

・企業トップのイニシアティブによるテレワークの推進と管理者自らのテレワークを実施する。
・育児や介護に従事する者だけに限らず、テレワーク可能な全てを対象に推進する。
・適正な労務管理とガイドラインの見直しを実施する。
・セキュリティ確保のための方策を周知させる。
・テレワーク推進の国民運動化に協力する。

地方におけるテレワーク普及推進

・地方自治体でのテレワークの普及を推進し、クラウド活用によるテレワーク導入先行事例を公表する。
・ふるさとテレワークの全国展開と地方版ハローワークにおけるテレワークの活用を進める。

BPRの実施によるテレワークの推進

・BPR(business process reengineering:ビジネスプロセスを抜本的に設計し直すこと)の先行事例の周知とテレワーク導入を前提とした柔軟な働き方のマネジメント、働き方改革による生産性の向上を推進する。

その他

・各府省大臣のトップダウンで国家公務員のテレワークを推進する。
・「テレワーク推進法(仮称)」の策定を検討する。

テレワーク普及への主だった取り組み

上記の政府ならびに各地方自治体のテレワーク普及促進施策にもとづき、さまざまな取組が各地で行われている。以下にその一部をあげておく。

テレワークの国民運動化

2020年開催の東京オリンピック、パラリンピックでは国内外からの多くの応援客、観光客が殺到し、首都圏の交通機関の混雑が予想されることから、2012年のロンドンオリンピックでのテレワーク活用事例を参考に、オリンピック期間中のテレワーク活用を検討している。そのため、オリンピック開会式日の7月24日を「テレワーク・デイ」と定め、2017年7月24日にキックオフイベントを実施し、922団体、6.3万人が参加した。

ふるさとテレワーク

テレワークの活用により、都市部に集中している人や仕事を地方のサテライトオフィスやテレワークセンターを利用し、地方でも都市部と同じように働ける環境の実現と、地方創生と柔軟な働き方の実現やワークライフバランスの向上等の働き方改革の実現につながる「ふるさとテレワーク」を推進、平成27年度15ヶ所で地域実証を実施した。
平成28年度以降はふるさとテレワークを導入する全国の自治体等へ補助事業として補助金を交付し、ICT機器購入費用等サテライトオフィスなどの環境整備に必要な費用の一部に充当しており、平成30年度も予算計上されている。補助額は上限4,000万円。

「ふるさとテレワーク」

おためしサテライトオフィス

「ふるさとテレワーク」と同様に地方創生に資する事業。地方公共団体が都市部のベンチャー企業等に魅力的なサテライトオフィスを提供するために必要なノウハウ(都市部の企業の具体的ニーズ、誘致に向けた戦略やノウハウ)を提供するため、総務省が平成28年度に実施した三大都市圏の企業等のニーズ調査結果を活用し、地方公共団体が実践的なニーズと地域特性を活かした誘致戦略を策定する支援を行う。
現在、以下の18の地域の地方公共団体で「おためしサテライトオフィス」が採択され、民間企業の受け入れを推進している。

・青森県弘前市・秋田県大館市・千葉県銚子市・新潟県南魚沼市・福井県鯖江市・京都府京丹後市・島根県松江市・山口県・徳島県・鹿児島県錦江町・北海道下川町・群馬県みなかみ町・千葉県南房総市・岐阜県高山市・愛知県岡崎市・静岡県南伊豆町・奈良県・鹿児島県伊仙町

「おためしサテライトオフィス」

職場意識改善助成金(テレワークコース)」※今年度は締切済み

ワークライフバランスに配慮した労働時間、年次有給休暇などに関する規定を改善し、テレワークに取り組む中小企業主に対して実施費用の一部を助成する。
対象となる中小事業主は業種ごとに一定の規模以下となり、テレワークを新規で導入する(試行的に導入している場合も可)、またはテレワークを継続して活用する(過去に本助成金を受給した場合、対象労働者を増加してテレワークに取り組むと2回まで受給が可能)必要がある。
助成に際して、1ヶ月から6ヶ月までの期間で設定する評価期間内に1回以上、対象労働者全員にテレワークを実施させること、評価期間内のテレワーク実施平均日数を週1回以上とする等の成果目標があり、成果目標の達成状況に応じて補助率が変わってくる。
支給対象はテレワーク導入・実施に関して要したテレワーク用通信機器の導入・運用費、クラウドサービスの導入費、外部コンサルティング導入コンサルティング費等で、成果目標達成時は補助率4分の3、未達成時は2分の1が助成される。ただし、達成時、未達成時それぞれ一人あたりの上限額15万円・10万円、一企業あたりの上限額150万円・100万円を超えないことが条件。

テレワークセキュリティガイドライン

テレワーク時に注意すべきセキュリティ対策のポイントをガイドラインとしてホームページで公開(PDF配布)し、周知する。

公衆無線LAN環境の整備促進

ICTインフラの中でも災害に強く、地域活性化のツールとしても有効な公衆無線LAN(Wi-Fi)を整備する。防災の意味も踏まえ、公衆無線LAN(Wi-Fi)環境の整備を行う地方公共団体等に対し、その費用の一部を補助する。

テレワーク相談センター

企業のテレワーク導入・推進のための相談窓口を設ける。テレワーク導入予定企業に労務管理の専門家を無償で派遣してくれる他、テレワーク導入についての疑問、助成金申請手続き、企業への訪問相談も行っている。(厚労省委託事業)

「テレワーク相談センター」

在宅就業者総合支援事業

自営型テレワーカー(在宅ワーカー)のためのセミナー、総合支援サイトの運営を行うとともに、働き方、仕事の見つけ方、見積、契約、請求書例などをまとめたハンドブックを配布している。

「HOME WORKERS WEB(自営型テレワークに関する総合支援サイト)」
「在宅ワーカーのためのハンドブック」

まとめ

国は、テレワークによって新しい労働環境を整備し、これからの労働人口の縮小する社会を支えるスキームとしてその導入を急いでいる。そして、企業にとっては行政が提供するさまざまなサポートを積極的に利用することが、テレワーク導入への近道でもある。有能な人材確保と生産性向上を目指すために、国や自治体の発信する情報を定期的にチェックされることをお薦めしたい。

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