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働き方改革で注目を浴びる「テレワーク」の基礎知識

働き方改革で注目を浴びる「テレワーク」の基礎知識

2020年の東京オリンピックの混雑緩和の切り札として、昨年7月24日に「テレワーク・デイ」が実施され、922団体、6.3万人が参加するなど、テレワークに対する関心と期待は日に日に高まっている。本稿ではテレワークに関する基礎知識として、その目的や導入の現状、メリット・デメリットなどをご紹介する。

そもそもテレワークとは

テレワークの歴史は意外と古く、1970年代のアメリカ、ロサンゼルス周辺で起こったエネルギー危機とマイカー通勤による大気汚染の緩和を目的としてはじめられ、80年代に入るやパソコンの普及と女性の社会進出によりさらに広がった。
テレワークとは ”遠く”を意味する(tele)と働く(work)を合わせた造語で、企業に雇用されたワーカーが企業のオフィス以外で勤務することを意味する。一般社団法人日本テレワーク協会のサイトによると、“テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方”と定義されている。
近年、日本においてもテレワークを採用する企業が増えてきているが、これまでの年功序列型から成果主義へと雇用の形態が変化してきたことが一因に挙げられる。

さらにテレワークは、勤務する場所によって次の3つに分類される。

「在宅勤務型」自宅で勤務するテレワーク
「モバイルワーク型」移動中(先)や取引先などでモバイルPCやタブレットなどを活用して勤務するテレワーク
「サテライトオフィス型」自社オフィス以外の遠隔地に設営されたワークスペースで勤務するテレワーク

また、雇用形態により、次の2つに分類される。

「雇用型テレワーク」企業や行政と雇用関係があり、オフィス以外の自宅等で勤務をするテレワーク
「自営型テレワーク」自営や個人事業で、請負契約に基づく仕事を自宅または共用ワークスペース等で行うテレワーク

なぜ今、テレワークが注目されているのか

平成25年の「世界最先端IT国家創造宣言」閣議決定や、現安倍内閣の「働き方改革」でも柔軟な働き方として導入を推進している事もあるが、テレワークが今注目されている最も大きな要因は労働人口の減少である。
現在の日本の人口バランスを見ると、ピラミッド型から逆ピラミッド型に移行しており、今後もさらに高齢社会となり、労働人口がこのまま減少の一途をたどる。
そのため、育児世代の女性や、身体の障害、病気やその他の理由で通勤が困難なワーカーの職場復帰や社会進出に、働く場所に制約が少ないテレワークという働き方が注目を集めるようになった。
さらに少ない労働人口で生産性を上げるという「労働生産性」の向上という観点からも、テレワークが効果を上げるものとして期待されている。
加えて、次のメリットの項でも挙げるが、企業の固定費が削減でき、優秀な人材の流出が防げることから、競合他社に対して優位に立てるというのもテレワークが注目されている要因だ。

テレワークの利点と問題点(メリット・デメリット)

にわかに期待が膨らむテレワークだが、雇用される側と雇用する側の双方ともに課題がないわけではもちろんない。ここで、雇用される側と雇用する側からテレワークの利点と問題点をいくつか挙げてみる。

利点(メリット)

<雇用される側>
「通勤時間がなくなる」企業のオフィス等へ通勤する必要がないので、通勤時間がなくなる。
「勤務時間の制約がない」自分で時間を管理し、仕事をする事が可能になる。
「住む場所を選ばない」通勤距離や通勤時間の制約がないので、居住する場所にも制約がなくなる。
「介護や育児と両立が可能」通勤時間がなくなり、勤務時間を自由に設定でき、働く場所も選ばないため、介護や育児、家事との両立が可能になる。
「仕事に集中できる」オフィスでの他の人への電話応対に手を止められたり、周りの雑音をシャットアウトでき、不要な人の行き来がなくなるので、仕事に集中しやすくなる。
「仕事着が不要」制服やスーツといった仕事着が不要となり経済的にも助かる。

<雇用する側>
「離職率の低下」特に女性の結婚、出産、育児に伴う離職や、また夫の転勤による離職が大幅に低減できる。また、プライベートな時間を重視する、とりわけミレニアル世代の優秀な人材の流出を防ぐことができる。
「交通費、オフィス経費など固定費の削減」社員の通勤に要する経費が大幅に削減できる。また、社員全員のためにスペースを確保する必要もなくなるのでオフィスに費やす固定費が削減できる。
「リスクを分散できる(BCP)」災害に罹災した際、ヘッドオフィスに一局集中型で事業を行っていたために、全社機能が麻痺し事業の継続が難しくなる事態を回避できる。また、通勤の必要性がないので、災害時の交通網の麻痺によるダメージも軽減される。
「社員のワークライフバランスの向上とそれにともなう生産性の向上」自宅などリラックスした空間で仕事が出来る事、育児や家事との両立などからプライベートライフの満足度が向上し、ひいては社員の仕事に対する意欲も向上し、生産性が向上する。
「企業イメージの向上」新しいワークスタイルを取り入れる先進的企業として、企業イメージが向上し、有能な人材を確保できる。

問題点(デメリット)

<雇用される側>
「自己管理能力が問われる」決まった勤務時間がないことから、怠けていると仕事が予定通り進まない、無理な長時間労働を強いられるといった事になりかねない。また、通勤や仕事での外出が減少するため運動不足になりがち。
「職種が限られる」テレワークは基本的にはパソコンやタブレットといったIT端末を使用して、企業のネットワーク上で仕事をするため、現状では比較的IT系、クリエイティブ系の職種が多くなる。

<雇用する側>
「労務管理が難しい」執務状況が見えないため、労働時間の管理が難しく、IT端末のログイン履歴などの管理システムが必要になる。また、労働時間ではなく、成果管理といった労務管理基準に変えていく必要がある。
「コミュニケーション・ギャップ」部下や上司、あるいは同僚とも机を向かい合わせて仕事をするわけではないので、ちょっとしたニュアンスの違いが汲み取れない、あるいは情報共有が不足がちになるといったコミュニケーション・ギャップに陥ることが考えられる。
「情報セキュリティ対策が必須」社内データであったものが、テレワークにより社外にデータが持ち出されるため、あるいはネットワーク上を行き来するため、十分なセキュリティ対策とシステム構築、および取り扱いルールの周知徹底が必要となる。

テレワークは企業や労働者だけでなく、社会全般にとってもメリットがあり、通勤時間帯の交通機関の混雑の解消、都市部への人口集中の緩和、地方創成にもつながる。
また、テレワークの導入により、企業が労働者に求めるものが労働時間ではなく、その成果に変わってきていることから、優秀なワーカーはこれも最近増えてきている「副業(複業)」を許可する企業に属し、複数の企業で成果を挙げることが可能になっている。

テレワークの現状

ここでは、総務省より公表されている平成28年通信利用動向調査、平成29年版「情報通信白書」と国土交通省より公表された「平成28度テレワーク人口実態調査-調査結果の概要」よりテレワークとテレワーカーの現状に関して数値で紹介する。

・テレワーク導入企業割合
2016年9月の調査によるとテレワークの導入企業割合は、まだ13.3%にとどまっている。後述するように、テレワークを導入しやすい業種、困難な業種それぞれにその要因があるが、ワーカーの働き方に対する意識変化と、企業の求人・労務政策に大きな変革が求められている現況から、今後は増加傾向に移ると見られる。

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また、従業員数にも導入率が違っており、従業員数が多い企業ほどテレワークの導入率が高く、従業員数301人以上の企業になると「導入している」が20.4%、「導入を検討している」を含めると27.9%となっている。それに対し、300人以下の企業においては、その規模によって増減があるものの、「導入している」「導入を検討している」とも相対的に少ない。

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これは、小規模の企業の場合、テレワーク導入に際しての投資や制度の見直しなどの負担が大きいことが主要因として考えられるが、この点は今後、助成制度の整備など行政からのバックアップが必要との声もある。

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・テレワーク導入による効果
テレワークを導入している企業に効果を調査したところ、「非常に効果があった(30.1%)」「ある程度効果があった(56.1%)」と、合わせて86.2%が効果があったと回答しており、労働生産性においては、テレワーク未導入企業に対し1.6倍の効果を生んでいる。

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(出典「平成28年 通信利用動向調査」総務省)


・テレワークを実施した事がある個人の割合
企業等に勤める15歳以上の個人で、過去一年間にテレワークの実施経験がある人は8.2%と1割にも満たないのが現状だ。導入企業が13.3%とはいえ、全職種でテレワークが導入されているわけではないので、この数字になっているものと想定される。

ちなみにアメリカの会社員の場合、43%が週に3日テレワーク(リモートワーク)している(Gullap調査/2016年)。週に4〜5日に至っては21%と、もうほとんどオフィスに出社しないワークスタイルがますます普及している。

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出典「平成28年 通信利用動向調査」総務省


・業種別のテレワーカーの割合

現状ではやはりIT関連業種(情報通信業)が多く、雇用型テレワーカーにおいては32.3%、自営型テレワーカーでは50%近くを占めています。企業が導入していることが前提となる雇用型においては、情報通信業以外の業種に大きな差はなく10~20%台となっているが、情報通信業が突出しているのはIT端末の活用や情報セキュリティが前提となるからとも推測される。

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出典「平成28度テレワーク人口実態調査-調査結果の概要」国土交通省


・職種別のテレワーカーの割合
職種別で見た場合、雇用型においてはIT関連職種が上位に来ている。一方でテレワーク向きと思える事務・企画系がいまだ低位にあるが、この職種は上記課題の解決とともに、今後加速度的にテレワーク化が進むものと思われる。

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出典「平成28度テレワーク人口実態調査-調査結果の概要」国土交通省


・テレワーク実施効果(テレワーカー)

雇用型テレワーカーにテレワーク実施による効果をアンケートしたところ、プラス効果として「業務効率が上がった」「自由に使える時間が増えた」という回答が40%超と多い一方、テレワーク実施のマイナス効果として、「仕事時間(残業時間)が増えた」という回答も40%超と多くなっている。
政府もテレワークの長時間労働を問題視しているが、必ずしも企業に問題がある場合だけでなく、テレワーカー自身の自己管理能力に起因するケースもあり、個人の就業体制をいかにサポートしていくか、まだまだソリューションが不足している感がある。

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出典「平成28度テレワーク人口実態調査-調査結果の概要」国土交通省

・テレワークの認知度

最後にテレワークの認知度については、「知っていた」との回答が18.5%とまだまだ認知度が低い。特にテレワークの対象になりやすい女性の認知度が13.2%と低いのが気になるところだ。

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出典「平成28度テレワーク人口実態調査-調査結果の概要」国土交通省

まとめ

今回はテレワークに関して、言葉の意味から、テレワーク導入によるメリット、デメリット、統計による現状に関してご紹介した。
ご覧のように課題はまだまだ多いが、これまでの働き方ではない、新しいワークスタイルを企業も個人も取り入れることで、いまこの社会が抱えている多くの課題を解決することは可能であり、未来に向けてより豊かな人生を送る環境を作っていくひとつの方法論としてあまねく浸透するものと思われる。
なお、海外ではここ数年のテクノロジーの急激な進歩が大きな助けとなり、テレワークの概念はモバイルワーク型であるリモートワークへと移っている。それに関しては、また別稿でご紹介したい。

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